歯がボロボロなのに「お金がないから歯医者に行けない……」と悩まれる方は少なくありません。治療の必要性を感じながらも、高額な費用が不安で踏み出せないケースもあるでしょう。
ただし、歯科疾患は放置するほど進行するため、早期の治療が欠かせません。現在では、公的制度やさまざまな支払い方法が整っており、経済的な事情があっても治療を諦めずに済む選択肢が増えています。
この記事では「歯がボロボロだけどお金がない」と悩む方に向けて、利用できる制度や支払い方法、治療費の目安などを解説します。
歯がボロボロでお金がない場合でも治療を受けられる制度

経済的に余裕がなくても、歯科治療を完全に諦める必要はありません。
ここでは、状況に応じて利用できる制度や保険診療について解説します。
- 無料低額診療事業
- 生活保護
- 保険適用される診療の受診
無料低額診療事業
無料低額診療事業は、生活困窮者や低所得者を対象に、医療費を無料または低額で受けられる制度です。「収入や貯金がなく治療費を払えない」という方にとって、歯科治療を受けるための大きな助けになります。
制度の対象者は、以下の通りです。
- 低所得者
- 要保護者
- ホームレス
- DV被害者
- 人身取引被害者
利用できるのはこの事業に参加している医療機関に限られるため、希望する歯科医院では受けられない場合もあります。利用を希望する際は、各自治体の福祉事務所や社会福祉協議会などに相談し、対象医院の一覧や必要書類を確認しておくことが重要です。
収入証明や保険証の提示を求められるケースもあるため、事前に準備しておくとスムーズです。
東京や埼玉、千葉など、各都道府県で対象のクリニックや基準が設けられているので、確認してみてください。
生活保護
生活保護を受給している方は、医療扶助の一環として配布される医療券により、歯科治療を原則自己負担なしで受けられます。経済的な不安を抱える方にとって、口腔内を健康に保つための大きな支えとなる制度です。
ただし、対象となるのは保険診療が中心で、セラミックなどの審美治療やインプラントといった自由診療は原則として適用されません。受診時には医療券を提示し、指定医療機関で治療を受ける流れになります。
申請から承認までに時間がかかることもあるため、早めの手続きを心がけると安心です。生活保護を活用することで、経済的事情から歯科治療を諦めずに済む可能性が広がるでしょう。
保険適用される診療の受診
国民健康保険や社会保険を利用すれば、自己負担は原則3割に抑えられます。保険の範囲内であれば、必要最低限の治療を比較的安価に受けられるのが大きなメリットです。
たとえば、虫歯治療や神経の処置、金属やレジンによる詰め物・被せ物、入れ歯などが対象です。
一方、インプラントやセラミックの被せ物など、審美性や快適性を重視する自由診療は対象外です。事前に「保険でできる範囲」と「自由診療」の違いを理解しておくと安心です。
また、歯科医院によっては「まず保険診療で最低限の治療を行い、その後必要に応じて自由診療を取り入れる」という治療計画を提案してくれる場合もあります。費用を抑えながら治療を続けるには、医師としっかり相談しながら進めることが大切です。
歯がボロボロでお金がない場合の支払い方法

まとまった費用が用意できなくても、分割払いやローンの活用により治療を継続できるケースもあります。
ここでは、代表的な3つの支払い方法について解説します。
- デンタルローン
- クレジットカード払い
- 銀行のローンや消費者金融
デンタルローン
デンタルローンは、歯科治療専用のローンで、インプラントやセラミックなど自由診療を希望する方によく利用される支払い方法です。一定の収入があり、金融機関や信販会社の審査に通過すれば、高額な治療費を分割で支払うことが可能です。
月々の決まった額を支払うため「まとまった資金がなくても治療を始められる」という安心感があります。
ただし、利用には金利や事務手数料が発生し、結果的に支払総額は一括払いより高くなります。
また、すでに借入が多い場合には審査に通らないこともあるため、事前に無理のない返済計画を立てることが欠かせません。
歯科医院によっては提携しているローン会社を紹介してくれる場合もあるため、相談時に「利用可能か」「実質年率はいくらか」といった情報を確認しておくと安心でしょう。
クレジットカード払い
クレジットカード払いは、多くの人にとって最も身近な決済手段のひとつです。対応している歯科医院であれば、一括・分割・リボ払いなど、カード会社が提供する支払い方法を選択できます。
特に「今すぐ治療を受けたいのに現金が手元にない」というときに便利です。
一方で、医院によってはカード決済を自由診療のみに限定しているケースもあるため、保険治療では利用できないところもあります。
また、リボ払いや長期分割は手数料が高額になるため、最終的な支払総額を把握した上で利用することが大切です。
銀行のローンや消費者金融
銀行の医療ローンや消費者金融の融資を利用すれば、急な治療費にも対応できます。審査に通過すれば短期間でまとまった資金を確保できるため、緊急性の高い治療を控えている方には有効な手段のひとつです。
特に銀行ローンは、消費者金融に比べて金利が低めに設定されているケースが多いため、返済総額を抑えやすいのがメリットといえます。
一方で、消費者金融の借入は即日融資に強みがありますが、金利が高くなりやすい点に注意が必要です。借入額や返済期間によっては負担が大きくなり、生活全体に影響を及ぼす可能性もあります。
利用する際は「必要最低限の金額に絞る」「返済シミュレーションをする」といった準備が欠かせません。また、借入先を複数にすると審査に影響したり返済が難しくなったりすることもあるため、利用の際は慎重な判断が求められるでしょう。
歯がボロボロな状態を放置するとどうなる?

歯の不調は自然に治ることはなく、放置するほど症状は悪化していきます。その結果、治療が複雑になり、費用が増える可能性も高まります。
ここでは、放置すると起こり得る3つのリスクを解説します。
- 虫歯や歯周病の進行で治療費がより高額になる
- 見た目や噛み合わせに悪影響が出やすい
- 治療が複雑化して治療期間が長引く
虫歯や歯周病の進行で治療費がより高額になる
初期の虫歯であれば、レジンや小さな詰め物で処置できるため、費用も比較的軽く済みます。
しかし、放置すると虫歯が神経まで進行し、根管治療(神経の治療)や大きな被せ物が必要になります。さらに、重症化すれば抜歯に至り、ブリッジや入れ歯、インプラントといった補綴治療が必要となるため、治療費が一気に膨らみます。
歯周病も同様で、歯肉炎の段階であればクリーニングやブラッシング指導などで改善できます。
しかし、進行すると歯槽骨が溶け、歯を失うリスクが高まります。結果、インプラントや総入れ歯といった高額治療に移行するケースも少なくありません。
「痛みがないから大丈夫」と放置すると、費用だけでなく身体的負担も大きくなる可能性があります。早期に受診して保険診療の範囲で済ませられれば、治療費を抑えつつ歯の健康を守れるでしょう。
見た目や噛み合わせに悪影響が出やすい
歯がボロボロになると、外見と機能の両方に大きな影響が及びます。
特に、前歯が損なわれると、人前で笑えなくなり、心理的な負担や対人関係での不安が強まります。奥歯を失ったままにしておくと、隣の歯が傾いたり、噛み合う歯が伸びて噛み合わせが崩れるのも問題です。
噛み合わせが乱れると、食べ物を十分に噛めず胃腸に負担がかかり、顎関節症や肩こり・頭痛など全身の不調につながることもあります。見た目と機能が損なわれると、生活の質を大きく下げるリスクにつながるでしょう。
ボロボロの歯は放置せず、抜けた時点で仮歯や部分入れ歯などを早めに導入し、噛み合わせを維持することが大切です。適切な補綴処置を行えば、全身への悪影響も最小限に抑えられ、安心して日常生活を送れるようになります。
治療が複雑化して治療期間が長引く
虫歯や歯周病を放置すると、治療が複雑化して通院回数が大幅に増える可能性があります。
たとえば、虫歯が進行して歯質がほとんど残っていない場合、根管治療や補綴治療が必要となり、治療期間が数か月以上かかることもあります。
さらに、複数の歯を失うと、外科処置・補綴治療・矯正的アプローチを組み合わせる必要が生じ、治療計画も複雑になる傾向があります。ボロボロの歯は放置せず、できるだけ早く相談することが、時間・費用・身体への負担を減らす近道といえるでしょう。
歯がボロボロなときの治療にかかる費用相場

歯がボロボロになった場合、選択する治療法によって費用は大きく変わります。
ここでは、代表的な治療法ごとの費用相場を紹介します。
- オールオン4
- インプラント
- 被せ物
- 入れ歯
- ブリッジ
オールオン4
オールオン4は、歯がほとんど残っていない方や総入れ歯が合わない方に適した自由診療の治療法です。費用は片顎200万〜600万円かかり、手術当日に仮歯を固定できるケースが多く、食事や会話の不自由を短期間で解消できる点が魅力です。
治療は、片顎に4本のインプラントを埋め込み、その上に人工歯を固定する方法で行います。手術は原則1回で完結するため治療期間を短縮でき、経済的な負担を抑えやすいのも特徴です。
ただし、施術後はインプラント周囲炎などのリスクを避けるため、定期的なメンテナンスが欠かせません。検診費用も含めて長期的な計画を立てることが重要です。
インプラント
インプラントは、失った歯の部分に人工歯根(インプラント体)を埋め込み、その上に人工歯を装着する治療法です。自由診療のため、1本あたり30万〜50万円程度が相場で、複数本になると治療総額は高額になりやすい点に注意が必要です。
ブリッジのように隣の歯を削らずに済むため、健康な歯を守れるのが大きなメリットです。
見た目や噛み心地も天然歯に近く、適切なケアを続ければ長期間使用できる可能性が高い治療法といえます。
なお、顎の骨が不足している場合は骨造成が必要となり、追加費用が発生するケースもあります。
被せ物
被せ物は、虫歯や破折で歯質が大きく失われたときに行う治療で、削った歯の上に人工歯をかぶせて機能や見た目を回復します。
保険診療では金属やレジンが使われ、自己負担額は数千円〜1万円台と比較的安価です。
ただし、金属は目立ちやすく、レジンは強度が弱いため割れやすい課題があります。
一方、自由診療ではセラミックやジルコニアが選べ、費用は1本あたり5万〜15万円程度が目安です。自然な白さと高い耐久性を兼ね備えており、二次虫歯のリスクを抑えやすいのが利点です。
審美性・費用・耐久性を総合的に考え、自分に合った素材を選ぶことが重要です。
入れ歯
入れ歯は、歯を失った場合に広く用いられる治療法で「部分入れ歯」と「総入れ歯」に分けられます。
部分入れ歯は、残存歯に金属のバネをかけて固定します。保険診療であれば数千円〜1万円程度で作製でき、短期間で装着できるのがメリットです。
その反面、金属が見えて審美性に欠けるほか、支えとなる歯に負担がかかります。自由診療では金属床やシリコン義歯、目立たない設計などが選択でき、費用は10万〜50万円程度が一般的です。
総入れ歯はすべての歯を失った場合に用いられます。保険診療では1万〜2万円前後と経済的ですが、厚みが出やすく違和感や噛みにくさを感じやすいのが課題です。
自由診療であれば、金属床義歯や吸着性の高い素材を選べ、20万〜50万円程度、場合によってはさらに高額になることもあります。快適さや審美性は向上しますが、その分費用は高額です。
ブリッジ
ブリッジは、失った歯の両隣を削って支台とし、その上に人工歯を橋のようにかける治療法です。固定式で取り外しの必要がなく、噛み心地が安定しやすいのが特徴です。
保険診療では金属やレジンを用いたブリッジがあり、自己負担額は1万〜3万円程度が一般的です。
しかし、金属は目立ちやすく、硬質レジンは変色や摩耗が進みやすい点には注意が必要です。
自由診療ではセラミックやジルコニアのブリッジが選択でき、1本あたり10万〜20万円程度が目安です。自然な白さと高い耐久性を兼ね備えており、前歯など見た目を重視する部位や奥歯でも安心して使用できる点も大きな強みです。
ただし、ブリッジは支台歯に大きな負担をかけるため、将来的に支台歯が弱まり再治療や抜歯が必要になるリスクもあります。比較的短期間で歯を補える利点がある一方、健康な歯を削る治療であることも理解し、慎重に選択することが大切です。
歯がボロボロでお金がない…そんなお悩みは永田歯科医院へ

東京都立川市にある永田歯科医院は、費用面に不安を抱える方でも安心して相談できる環境を用意しています。
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まとめ:歯がボロボロでお金がない状態でも歯科治療を諦めないことが大切

経済的な事情があっても、無料低額診療事業や生活保護の医療扶助などを活用すれば治療を受けられる可能性があります。
さらに、デンタルローンやクレジットカード払いを組み合わせれば、まとまった費用がなくても希望の治療を始めやすくなるでしょう。
ボロボロの歯を放置すると症状は進行しやすくなり、治療費・通院期間・身体的負担が大きくなったり複雑な治療が必要になったりします。
「お金がないから無理だ……」と諦めず、まずは利用できる制度や支払い方法を確認し、早めに治療につなげることが大切です。
- 手術自体の痛みが不安で、踏み切ることができない
- 治療がうまくいくかどうか、長期的に問題なく使えるかが不安
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