時間がなくて歯科医院に行く暇がない!自宅で歯周病を治す方法はないのだろうか?
歯科治療は通院が必要になるケースが多く、仕事や育児、介護などで忙しいとなかなか時間が作りにくいですよね。
事実、歯周病になっていても歯科医院に行っていない人はたくさんいます。平成28年の歯科疾患実態調査によると、推定される歯周病患者数は約7,000万人います。しかし、実際に歯科医院で治療を受けている患者数は、なんとたったの約400万人なのです。
このことから、歯周病であることに気がついていない人や、気が付いていても治療をしていない人がかなり多いことがわかります。
実は、歯周病は自宅で治すことができません。なぜなら、歯周病を悪化させる原因のほとんどが、自宅で対処できないからです。
そのため、歯周病にかかってしまった場合は、歯科医院にてさまざまな歯周病の検査を行い、現在の歯周病の進行度を診断してから専門的な歯周病治療を受ける必要があります。
ここで、自宅で歯周病を直すことはできませんが、生活習慣を変えることで歯周病を予防したり、悪化を遅らせることはできます。
本記事では、歯周病が自宅で治すことができない理由や、自宅でできる生活習慣の改善法について紹介します。歯周病にかかっているかもしれないと思った方は、本記事を参考にしつつ、歯科医院での専門的な治療を受けることを検討してください。
歯周病は自宅で治せないが、悪化を遅らせることはできる
結論から言うと、歯周病は自宅で治すことができません。また、放置しても自然治癒することはありません。
ここで、本記事で歯周病と呼んでいる病気は、専門用語では「歯周炎」のことを指します。
歯周病にかかってしまった場合は、歯科医院にてさまざまな歯周病の検査を行い、歯周病のステージ・グレードを診断してから進行度に合わせた専門的な歯周病治療を受ける必要があります。
ただし、歯周病の悪化を遅らせたり、歯周病を予防したりするために、歯みがき方法を含む生活習慣を改善することは意味があり、非常に重要です。
歯周病は痛みなどの症状がほとんどないまま進行します。歯周病があっても日常生活に大きな支障が出ないことが多いため、病院にいく必要性が強く感じられないかもしれません。
しかし、病院に行かず歯周病を放置し、さらに生活習慣も改善しないままだと、どんどん進行していくため、最終的には歯を失うことにつながっていきます。歯周病は、日本人が歯を失う原因ランキング1位になっています。
歯周病が自宅で治せない理由
歯周病を治すためには、歯周病を悪化させる原因を除去する必要があります。
しかし、この原因があるかどうかを判断したり、自宅で対処したりすることが難しいため、自宅で歯周病を治すことができないのです。以降で詳しく説明していきます。
- プラークがたまりやすく落としにくい状態にする要因に対処できないから
- かみ合わせのバランスが崩れているから
- 市販の歯周病対策用品は根本的な治療にはならないから
プラークがたまりやすく落としにくい状態にする要因に対処できないから
歯周病の進行には、プラークがたまりやすく落としにくい状態にする要因が関与しています。これらの要因を自宅で対処することはほぼ不可能です。
歯周病の大きな原因は細菌、いわゆるプラークです。このプラークがたまりやすく、かつプラークの除去を困難にする要因をプラークリテンションファクターと呼びます。これらの要因が存在し続けることで歯周病は悪化し、進行していきます1。
ところが、これらの要因を自宅で取り除くのは至難の技です。具体的なプラークリテンションファクターと、自宅で改善することが難しい理由について詳しく説明します。
1.歯石
歯石は、最も重要なプラークリテンションファクターです。
歯石は、歯の表面にくっついたプラークが固まったものです。歯石自体には病原性はないのですが、表面がデコボコしており、穴がたくさん開いているため、歯石の表面にさらなるプラークがつきやすく、細菌の格好の棲み処となります。
歯石は固く、歯茎の奥深くにこびりついている場合も多々あるため、自宅で取り除くことは困難です。歯科医院にて専門の器具を用いて除去する必要があります。
2.歯周ポケット
歯周ポケットがあると、ポケット内部にプラークがたまりやすくなり、かつ自身でお掃除するのは困難にななります。
歯周病が進行すると、歯と歯茎の間に歯周ポケットと呼ばれる深い溝が形成されます。このポケットは狭い上に深さがあるので、歯周ポケット内を歯ブラシなどでお掃除するのは至難の業です。プラークがたまることによって、ポケット内に歯石が形成され、歯周病が悪化していく原因となります。
また、歯周病の原因となる細菌は酸素が苦手です。深い歯周ポケット内は酸素が少ないため、歯周病原細菌が増加しやすい環境を作り出してしまいます。
3.虫歯
虫歯もできる位置によっては、プラークがたまりやすく、取り除きにくくする原因になります。
歯と歯茎の境目に虫歯ができてしまうと、穴の開いた部分やその周りにプラークが停滞しやすくなり、結果として歯周病を進行させる原因になります。虫歯は歯に穴をあけたり、歯の表面を粗造にするため、虫歯周りについたプラークを除去するのを困難にします。
言うまでもなく虫歯は自宅で治すことができないので、歯科医院で治療する必要があります。
4.不適合なかぶせ物、詰め物
かぶせ物や詰め物の形があっていないと、プラークがたまる原因になります。
クラウンやインレー、虫歯の治療で使われるコンポジットレジンなどの適合が悪い場合、歯と人工物の間に隙間が存在します。その隙間にプラークがたまりやすくなり、歯周病の原因となります。
かぶせ物や詰め物が不適合かどうかを自力で判断したり、自宅で改善することは難しいでしょう。
歯科医院で行われる歯周病治療では、最初の検査結果をもとに、不適合な修復物が歯周病の原因となっているかどうか診断します。改善が必要な場合は除去を行い、再治療をすることになります。
5.歯並びが悪い
歯並びが悪いと普段の歯みがきでプラークを落とすのが難しくなります。結果として、歯周病を悪化させる要因となります。
6.歯肉や粘膜の形態異常
生まれつき粘膜の形や場所、歯茎の形や厚さに異常があると、歯磨きがしずらくなることがあります。
自分では気が付かない場合もあるため、歯科医師による確認が必要となります。
7.歯の形態異常
生まれつき歯の形に異常があると、その部分にプラークが溜まりやすくなります。歯の表面の溝や凹凸が当てはまります。こちらも自分で気が付くのは困難なため、歯科医師による確認が必要となります。
かみ合わせのバランスが崩れているから
かみ合わせのバランスが崩れていると、歯周病を悪化させる要因となります。
歯周病になっている歯に強い咬合力が加わると、一気に歯周病が進行します。また、歯ぎしりや食いしばりといった悪習慣も歯周病を悪化させる要因となります。
かみ合わせのバランスを自分で判断したり、調整したりすることはほぼ不可能と言っていいでしょう。そのため、歯科医院にてかみ合わせの検査を行い、診断、必要に応じた調整をする必要があります。
市販の歯周病対策用品は根本的な治療にはならないから
歯磨き粉やうがい薬など、歯周病に効くと紹介されているデンタルグッズは根本的な治療になりません。なぜなら、これらの製品が上記のような因子を改善させることは難しく、口腔ケアの際に補助的に使うものだからです。
歯磨き粉やうがい薬で歯石を取り除くことはできませんし、プラークはバイオフィルムという状態になっており、大量の細菌がネットワークを構築しているため外部からの薬の成分はほぼ効きません。
そのため、歯磨き粉やうがい薬を使用することによって歯周病が完治することはありません。
歯周病の悪化を遅らせるために自宅でできること
繰り返しになりますが、歯周病は自宅で治すことはできません。しかし、生活習慣を見直すことで、歯周病を悪化させるリスクを減らすことはできます。具体的にみていきましょう。
- 歯磨きをしっかり行う
- 禁煙する
- ストレスを減らす
- 口呼吸をやめる
- 肥満の人は痩せる
- 糖尿病の人は治療する
歯磨きをしっかり行う
毎日の歯みがきで、歯周病の原因であるプラークを落とすことができれば、歯周病の悪化を遅らせることができます。
先述の通り、歯石は硬いため自宅で落とすことができませんが、プラークは柔らかいため、歯ブラシなどの清掃道具を使えば自宅で落とすことができます。
歯みがきによってプラークの量をできるだけ少なくすることは非常に重要で、歯周病の悪化を遅くすることができます。
特に汚れがつきやすい場所は、歯の噛む面、歯と歯の間、歯と歯茎の境目の3か所です。口腔内にプラークができるだけ残らないようにするために、以下の4つの点に気を付けるとよいでしょう。
1.3つの観点で歯みがきの方法を工夫する
歯みがきをするときは、歯ブラシの力加減、磨き方、当て方に注意する必要があります。
力加減 | 力を入れてゴシゴシ磨くと、歯がすりへる、歯肉から血が出る原因になりますので、軽い力で磨くことが大切です。理想の力加減は100g~200gの圧力であり、歯に当てたときに歯ブラシの毛先が広がらない程度が目安となります。また、歯ブラシを持つときはペンを持つように持つと細かい動作がしやすくなります。 |
---|---|
磨き方 | 磨く時は、5~10mmの幅を目安に、小刻みに細かく動かします。この時、1本の歯に対して20回以上歯ブラシでこするようにします。 |
当て方 | ・歯の噛む面は、くぼみに毛先を水平に当てて細かく小刻みに磨きます。 ・歯の根元は歯と歯茎の境目に向けて約45度に歯ブラシを傾け、細かく小刻みに磨きます。 ・前歯の裏側は、歯ブラシを縦にしてかき出すようにして磨きます。 |
2.歯ブラシと歯間ブラシやフロスを一緒に使う
汚れがたまりやすい歯と歯の間のプラークは、歯ブラシだけ使用した場合、たったの60%程度しか落とせません。
一方で、歯ブラシと糸ようじを併用すると86%、歯ブラシと歯間ブラシを併用すると95%までプラークを落とすことができることがわかっています2。
したがって、歯ブラシだけでなく歯間ブラシやフロスといった補助的な清掃道具も使用してお掃除をするとことで、すみずみまでプラークを落とすことができます。
3.時間をかけて歯みがきするタイミングを夜寝る前にする
毎食後歯みがきをするのが理想ですが、歯みがきを1番丁寧にするべき時間は、夜寝る前です。なぜなら、夜は唾液の分泌量が減るからです。
唾液には、殺菌作用や食べかす・細菌を洗い流す作用があります。しかし、夜間は唾液の分泌量が減るため、これらの働きが弱まってしまいます。そのため、寝ている間は細菌が増えやすい環境になってしまいます。
このため、夜の歯みがきは丁寧に行い、食べかすやプラークをできるだけ落とすことが重要になってきます。特に朝や昼間が忙しくて歯みがきの時間が作れない人は、夜の歯みがきだけは十分に時間をかけてしっかり歯みがきを行うと良いでしょう。
4.歯ブラシは1か月で交換する
歯ブラシを数か月間使い続けている人は要注意です。
歯ブラシは消耗品なので、使っているうちに毛が劣化してきます。歯ブラシの寿命は1か月程度であり、歯ブラシが古くなると毛のコシがなくなり、プラーク除去率が下がってしまいます3。
そのため、見た目がきれいであったとしても、歯ブラシは1か月おきに交換する必要があります。
歯科医院で行われる歯周病の治療内容は、歯周病の進行度合によって異なります。
しかし、すべての治療ステージにおいて、患者自身でプラークをしっかり落とすこと(プラークコントロール)が持続的にできているかどうかが要となります。
自宅でできるプラークコントロールが確立されていなければ、その後歯科医院でどんなに高度で専門的な治療を行っても、十分な治療効果を得ることができないからです。
自宅で歯みがきをしっかり行うことは、歯周病の予防だけでなく、治療においても非常に重要なのです。
禁煙する
喫煙は、歯周病の環境因子からみた最大のリスクファクターです。タバコをやめることは歯周病の悪化を防ぐために非常に有効です。
喫煙者は歯周病になりやすいことが数多くの研究からわかっており、喫煙者は非喫煙者に比べて2〜8倍、歯周病になりやすいことが報告されています1。
タバコの煙が最初に触れる口の中は、たばこの影響を大きく受けます。タバコの煙に含まれる数多くの化学物質は口の粘膜から吸収されます。
タバコの煙に含まれる代表的な有害物質は、以下の2つです4。
一酸化炭素 | 酸素を運ぶ役割を持つ血液中のヘモグロビンと結合するため、血液が十分な酸素を組織に供給することを妨げる |
---|---|
ニコチン | 一種の神経毒で、血管を収縮させるため、体の細胞が酸欠・栄養不足状態になる。また、免疫の機能を狂わせるため、病気に対する抵抗力が落ちる原因になる。さらに、傷を治そうと組織を作ってくれる細胞の働きを抑えてしまうため、傷の治りが悪くなる |
これらの働きかけによって、次のようなことが起こり、歯周病のリスクとなります5。
- 歯茎の血液循環が悪くなり、十分な酸素がいきわたらなくなると、歯周ポケットの中で歯周病の原因となる細菌が増えやすくなってしまう
- 自分の体を守る免疫機能が低下することで、細菌が増殖しやすくなる要因となり、歯周病の悪化につながる
喫煙は身体にとって百害あって一利なしです。歯周病の悪化を防ぐためにも、喫煙している人はこれを機に禁煙することを考えてみるとよいでしょう。
ストレスを減らす
ストレスを減らすことは歯周病対策につながります。なぜなら、ストレスは歯周病の重症化に関連し、ストレスによっておこる心身の緊張状態が身体のさまざまな部分に影響を及ぼすからです。
ストレスがどのようにして全身に作用し、歯周病の発症・進行に影響を及ぼすのか見ていきましょう。
1.唾液の量が減る
人間の体は、ストレスを受けると交感神経の働きが強くなります。自律神経の一種である交感神経は、身体を活動的にする方向に働きかけますが、その1つに唾液の分泌量を減らす働きがあります6。
唾液にはさまざまな細菌に対する免疫物質が含まれており、また食べかすや細菌を流し落とす役割があります。そのため、唾液の量が減ることで、口腔内で歯周病原細菌が増えやすい環境になってしまいます。
2.免疫力が低下する
心身がストレスを受けることで、副腎皮質から分泌されるコルチゾールと呼ばれるホルモンの量が増えます。コルチゾールはストレスから身体を守る働きを持ち、身体全体に作用しますが、その1つとして免疫抑制作用があり、免疫活動を担うリンパ球の働きを低下させます。
その結果、歯周病原細菌に対する抵抗力が下がってしまい、歯周病を進行させる可能性があります。
3.生活習慣の変化
ストレスを受けることで、生活習慣が乱れることがあります。その結果として、歯周病の発症・進行に影響を及ぼすことがあります。
仕事や私生活でストレスがあると疲れてしまいますよね。余裕がなくなってくると、以下のように生活習慣が乱れてくることがあります。
- めんどくさくなってしまって歯みがきをしっかりしていない
- 食事の時間がとれず、食事を抜いてしまっている、又は栄養バランスを考える余裕がない
- 夜目が冴えてしまってしっかりと寝れない
- 食いしばりや歯ぎしりが増えた
- タバコを吸ってストレス解消している
こういった乱れた生活習慣の積み重ねによって、プラークがたまる、免疫力の低下などを引き起こし、結果として歯周病の発症や悪化につながることがあります7。
ストレスがまったくない状態で生きていくことは難しいです。そのため、日常生活を見直し、できるだけストレス解消に努めることが大切です。
ストレス解消として代表的な行動は、以下の通りです。
- 趣味を楽しむ
- 適度な運動をする
- 規則正しい食事をとる
- 睡眠をしっかりとる
ストレス解消の方法は人によってそれぞれ異なります。自分なりにストレスをため込みすぎないように工夫して生活していくことは、有効な歯周病対策となります。
口呼吸をやめる
口呼吸をしている場合は、鼻呼吸にすることで歯周病の悪化を防ぐことができます。
実は、口呼吸もプラークリテンションファクターの一つです。口呼吸をしていると、口の中が乾いてしまうため、唾液による自浄作用が減ってしまいます。その結果、プラークが溜まりやすくなり、歯周病の悪化につながります。
口呼吸を改善するためには、以下の方法があります。
1.意識的に口を閉じ、鼻呼吸をする
長年のくせや習慣で口呼吸をしている場合は、1日のうちに鼻で呼吸しているかどうか何度も意識しましょう。歯や鼻に異常がなければ、口呼吸から鼻呼吸に治すことができる可能性があります。
2.口の周りの筋肉を鍛える
口の周りの筋肉を鍛えることで、口呼吸が改善する可能性があります。
口の周りには口輪筋とよばれる表情をつくる筋肉や、舌筋と呼ばれる舌の筋肉があります。これらの筋肉を鍛えることで、口呼吸を改善することができます。
- 日頃からよく噛んで食べる
- あいうべ体操をする8
あいうべ体操のやり方は、次の4つの動作を順にくり返します。声は出さなくても大丈夫です。
- 「あー」と口を大きく開く
- 「いー」と口を大きく横に広げる
- 「うー」と口を強く前に突き出す
- 「ベー」と舌を突き出して下に伸ばす
- ①~④を1セットとし、1日30セットを目安に毎日続けます
3.耳鼻科を受診する
鼻の病気が原因で、鼻呼吸ができないケースがあります。アレルギーや花粉症で引き起こされる鼻炎や鼻中隔湾曲症、アデノイド増殖症などで、鼻の通りが悪くなり、口呼吸になってしまうことがあります。このような場合は、耳鼻咽喉科を受診して治療を受ける必要があります。
4.歯科矯正治療を受ける
歯並びが原因で口呼吸になっている場合は、矯正治療をすることで改善する可能性があります。
上顎が前に出ていたり、下顎が前に出ている受け口の状態ですと、自然に口が開いてしまい、口呼吸になりやすくなってしまいます。こういった場合、矯正治療をすることで鼻呼吸へと促す事ができる可能性があります。
肥満の人は痩せる
太っている人は痩せることで、歯周病対策になります。意外かもしれませんが、歯周病と肥満は相互に関係があり、肥満があると歯周病のリスクになることがわかっています1。
人は肥満になると、脂肪細胞の量と数が増えます。脂肪細胞ではアディポカインと呼ばれる、さまざまな細胞に働きかけるタンパク質が作られ、分泌されます。
このアディポカインには良い働きをするものと、悪い働きをするものがありますが、そのバランスが崩れることで、全身に軽い炎症が起きている状態となります。その結果、歯周病の炎症を悪化させ、歯を支える骨の吸収を促進すると考えられています9。
そのため、肥満を解消するために食事を見直してみたり、定期的な運動をすることは歯周病対策にもつながるのです。
糖尿病の人は治療する
糖尿病と診断されている人は、糖尿病の治療を行い、血糖値のコントロールをしっかりしましょう。なぜなら、歯周病は「糖尿病の6番目の合併症」と呼ばれるほどで、糖尿病患者は歯周病になりやすく、かつ悪化しやすいことがわかっているからです。
補足:糖尿病の種類
糖尿病には、1型と2型の2種類があります。
1型糖尿病 | 免疫の異常やウィルス感染が原因で、膵臓からインスリンがほとんど出なくなってしまう病気。インスリンの自己注射が必要になる。 |
---|---|
2型糖尿病 | 食べすぎなどの生活習慣や遺伝が原因でインスリンが効きづらくなる、相対的にインスリンが不足することによって血糖値が下げられなくなる病気。生活習慣病としての糖尿病は2型糖尿病のことを指す。 |
糖尿病の人は、健康な人と比べて血糖値が高い状態が続きます。この高血糖状態により、次のようなことが引き起こされます。
- 免疫力が低下する:歯周病の原因となる悪玉菌への抵抗力が弱まる
- 歯茎の血流が悪くなる:傷が治りにくくなる
- 唾の量が少なくなり、唾の中に含まれる糖分が増える:プラークがつきやすくなり、細菌が増えやすくなる
このような条件が重なることで、歯周病になりやすく、かつ歯周病が進行しやすい環境となってしまいます。
過去の研究から、糖尿病の患者は1型、2型の両方で歯周病になりやすいこと明らかになっています。特に血糖値のコントロールが悪い患者は、血糖コントロールが良い患者に比べて歯周病が進みやすく、結果として歯を失いやすくなることもわかっています。
また、歯周病の治療をおこなうことで血糖値が下がるという研究もあり、糖尿病と歯周病はお互いに深い関係があります10。
したがって、糖尿病にかかっている方は投薬、運動療法、食事療法といった医師の指導にきちんと従いましょう。しっかりと血糖値をコントロールすることが、歯周病の悪化予防につながっていくのです。
まとめ:歯周病の自宅での治し方はない!もし罹ったら治療が必要
繰り返しになりますが、歯周病を自宅で治すことはできません。なぜなら、歯周病を悪化させる要因を自宅で対処することが難しいからです。
歯周病かもしれないと思ったら、一刻も早く歯科医院に行き、歯周病の進行度を診断してもらい、専門的な歯周病治療を受けるべきです。
病院に行かず歯周病を放置し、さらに生活習慣も改善しないままだと、どんどん進行していくため、最終的には歯を失うことにつながっていきます。
唯一、自宅でできることは、生活習慣を改善し歯周病の悪化を遅くすることです。
具体的には以下の方法です。
- 歯みがきの方法を工夫して、確実にプラークを落とす
- 禁煙する
- ストレスを減らす
- 口呼吸をやめる
- 肥満の人は痩せる
- 糖尿病の人は治療する
これらの方法は歯周病の発症・悪化リスクを減らすという意味では有効ですが、歯周病の根本的な治療法にはなりません。
歯の健康を維持することは、食事や会話を楽しむといった豊かな生活を送るための礎となります。
将来歯を失わないためにも、上記の方法で生活習慣を改めつつ、歯科医院での専門的な治療を受けましょう。
【参考文献】
1.日本歯周病学会 歯周治療のガイドライン2022
https://www.perio.jp/publication/upload_file/guideline_perio_2022.pdf?20241021
2.山本昇 Interdental BrushとDental Flossの清掃効果について 1975年17巻2号 p.258-264
https://doi.org/10.2329/perio.17.258
3.稲田 芳樹 Scrubbing 法における歯ブラシ線維の損耗に関する研究ーとくに歯みがき圧を考慮して 日本歯周病学会誌 1985年27巻2号 p.352-368
https://doi.org/10.2329/perio.27.352
4.日本臨床歯周病学会
https://www.jacp.net/perio/cigarette/
5.大森みさき,両角俊哉,稲垣幸司,横田誠,沼部幸博,佐藤聡,伊藤弘,王宝禮,上田雅俊,山田了,伊藤公一.喫煙の歯周組織に対する影響.日本歯周病学会誌, 53(1): 40-49, 2011
6.中川洋一、ストレスによる唾液分泌抑制のメカニズム 歯科薬物療法 Vol.38 no.1 2019 https://www.jstage.jst.go.jp/article/jsotp/38/1/38_19.02/_pdf/-char/ja
7.J. Coelho et al, Is there association between stress and periodontitis? Clinical Oral Investigation, 2020 Jul;24(7):2285-2294. doi: 10.1007/s00784-019-03083-9. Epub 2019 Oct 25. PMID 31654249
9.S.Jepsen et al, The association of periodontal diseases with metabolicsyndrome and obesity, Periodontol 2000, Jun;83(1):125-153. doi: 10.1111/prd.12326. PMID 32385882
10.日本歯周病学会 糖尿病患者における歯周治療のガイドライン2023
https://www.perio.jp/publication/upload_file/guideline_diabetes_2023.pdf

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