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インプラントのリスクとは?最小限に抑える対策とともに歯科医師が解説

インプラントってなんとなく危険な気がして怖い……
入れ歯とかの他の方法と比べて、リスクがあるんじゃない?

歯がない部分にどんな治療をするか検討中の人は、そんな風に考えたことがあるのではないでしょうか。

もちろん、どんな治療法にもなんらかのリスクはつきものです。インプラント治療の失敗事例の多くは、実は事前にリスクを知っていれば防げたものばかりです。

治療においてリスクというのは、“避けるもの”というよりは“管理するもの”と言えます。よい治療とは、リスクが全くないものというわけではありません。リスクを事前に知りコントロールした上で、最善の成果をもたらすことがよい治療といえます。

インプラント治療のリスクも事前に知ることでコントロールできるので、怖がりすぎる必要はありません。

この記事では、インプラント治療のリスクを解説し、リスクの原因や対策法についても詳しくご紹介します。インプラントを検討中の方はぜひ参考にしてみてください。

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インプラントは優れた治療だがリスクはゼロではない

歯を失った時「噛む」「話す」「見た目」を回復できるインプラントは、非常に優れた治療法ですが、そのリスクは全くのゼロではありません。医療においてはどんな治療法もリスクが必ずあり、インプラント治療もその例外ではないからです。

インプラントは、ブリッジや入れ歯では得られない、“自分の歯に近い機能・見た目・快適さ”を得られる有効な治療法です。インプラント治療は、“外科的要素”と“補綴的要素”が複合した高難度の治療で、高度な包括的治療技術が必要です(「補綴」=失った歯を人工のパーツで補うこと)。そのため、インプラント治療においてはさまざまな場面でいろんな要素を持った特有のリスクがあります1

この記事では、治療の失敗やトラブルにつながるようなインプラントのリスクについて解説します。

「インプラントのリスク」を正しく知って未然に予防することが大事

インプラント治療にはリスクがあると聞いても、インプラント治療を避けたり怖がったりする必要はありません。事前にリスクについて正しく知って適切な行動をとることで、未然にトラブルを予防することができるからです。

インプラント治療におけるリスクには、リスクを高める要因があります。どの時期にどんなリスクがあり、そのリスクは何が原因で生じるのか、事前に知っておくことが大事です。

事前に知識があれば、前もって必要な対策を取れるので、インプラント治療のリスクを下げることができます。どんな治療法にもリスクはありますが、それぞれのリスクを理解した上で正しい治療を選べることが重要です。

リスクを知らずに治療を受けることは危険です。

正しく「インプラントのリスク」を知り、未然に予防できるように行動しましょう。

インプラント治療の4つの時期ごとにリスクがある

インプラント治療においては、4つの時期ごとに分けてさまざまなリスクがあります。

例えば、治療計画を決定する治療開始前や、人工歯を入れる時点では補綴的側面からのリスクが挙げられますし、外科手術であるインプラント手術中やその直後には外科的側面からのリスクが挙げられます。

具体的には下記の4つの時期に分けられます。

  1. 治療開始前の診査診断と治療計画立案時
  2. インプラント手術中と手術直後
  3. インプラント手術後〜治癒期間
  4. 治療完了後〜メインテナンス期間

本記事では、4つの時期ごとにわけて、インプラントのリスクを詳しく解説します。

ただし、リスクがあるからといって「インプラント=危険」というわけではありません。

インプラントは適切な診査・治療計画、手術、メインテナンスを行うことで高い効果が期待できる治療法であり、実際に多くの方がメリットを実感しています。

まずは、インプラント治療を選ぶことで得られる代表的なメリットを整理しておきましょう。

インプラントを実施するメリットは3つ

インプラントの実施には大きなメリットがあります。

具体的には以下の3点です。

  1. 天然歯に近い審美性が実現できる
  2. 噛む力が回復し食生活の改善につながる
  3. 虫歯にならなくなる

天然歯に近い審美性が実現できる

インプラントは顎骨に直接固定されるため、天然歯とほぼ同じ見た目を実現できます。セラミック製の人工歯は色調や透明感を細かく調整でき、隣の歯との違和感がありません。

入れ歯のような金属のバネや留め具も見えないため、口元を気にせず会話や食事を楽しめます。

特に前歯の治療では笑顔の印象を大きく左右するため、20代から60代まで幅広い年齢層の方がこの審美的メリットを重視してインプラントを選択しています。

実際に治療を受けた方からは「自分の歯のように感じる」「笑顔に自信が持てるようになった」という声が多く聞かれます。

噛む力が回復し食生活の改善につながる

インプラントは、見た目だけでなく、噛む力も自分の歯にかなり近く回復できる治療です。自分の歯を100%とすると、インプラントの歯は約97%くらいまで噛む力が回復し、本来の自分の歯とほぼ同じくらいしっかり噛めるということが報告されています2

全く歯のない顎(無歯顎)に入れる総入れ歯(全部床義歯)よりも、インプラントを支えにした入れ歯(インプラントオーバーデンチャー)のほうが、本来の自分の歯の噛む力に近付けられることも明らかになっています3

国内の研究では、自分の歯(天然歯)の噛む力を100%とした場合、全部床義歯では約20%程度にとどまる一方、インプラントを支えにした義歯では咬合力が約70%前後まで回復すると報告されています4

インプラント治療によって、りんごやせんべい、ステーキなど硬い食べ物も問題なく噛めるようになり、栄養バランスの改善にもつながります。

しっかり噛めることで唾液の分泌が促進され、消化機能の向上も期待できます。左右均等に噛めるようになることで顎関節への負担も軽減されます。

食事の時間が苦痛から楽しみに変わり、家族や友人との外食も積極的に楽しめるようになったという患者さんも多く、QOL(生活の質)の向上という観点からも大きなメリットといえます。

虫歯にならなくなる

インプラントの人工歯部分は、セラミックやジルコニアなどの素材でできているため、虫歯菌による侵食を受けません。一度虫歯で歯を失った方にとって、同じ箇所が再び虫歯になるリスクをゼロにできる大きな利点です。

ただしインプラント周囲炎には注意が必要で、3〜6ヶ月ごとの定期検診と専門的なクリーニングが推奨されています。虫歯の心配がないため甘いものを我慢する必要もなくなりますが、周囲の天然歯のケアは継続する必要があります。

適切なメインテナンスを続ければ、インプラントは20年以上機能することも珍しくありません。

インプラントをせずに歯が抜けたままにするリスクは?

インプラントをせずに歯が抜けたまま放置すると、大きなリスクがあります。

以降で、具体的な3つのリスクを解説します。

  1. 隣接歯が動くことによるトラブルにつながる
  2. かみ合わせが悪くなる
  3. 虫歯や歯周病になりやすくなる

隣接歯が動くことによるトラブルにつながる

歯を失った部分を放置すると、隣の歯が空いたスペースに向かって傾いてきます。また、かみ合う反対側の歯も伸びてくる「挺出」という現象が起こることもあります。数年経つと歯並び全体に影響を及ぼし、一度動いてしまった歯を元に戻すには矯正治療が必要となり、時間も費用も余計にかかります。

また、歯が傾くことで歯磨きがしづらい部分ができ、そこに汚れがたまりやすくなります。結果として健康だった隣の歯まで虫歯や歯周病のリスクが高まるという悪循環に陥ります。

早めの対処により、このような連鎖的なトラブルを防げます。

かみ合わせが悪くなる

歯が1本でも欠けると口全体のバランスが崩れ、残った歯に過度な負担がかかるようになります。これにより顎関節症や頭痛、肩こりなどの症状を引き起こす可能性があります。

かみ合わせの異常は咀嚼力の低下だけでなく、発音にも影響を与えます。特に前歯を失った場合はサ行やタ行の発音が不明瞭になることがあり5、仕事で話す機会が多い方にとっては重要な問題です。

片側だけで噛む癖がつくと顔の筋肉のバランスが崩れ、顔の歪みにつながることもあります。
早期の対応により、これらの問題を予防することが可能です。

虫歯や歯周病になりやすくなる

歯を失った部分には食べかすがたまりやすく、細菌の温床となります。歯ブラシが届きにくい箇所ができることでプラークコントロールが困難になり、残存歯の虫歯や歯周病リスクが著しく上昇します。

歯周病菌は血管を通じて全身に影響を及ぼし、糖尿病や心臓病、脳梗塞などのリスクファクターとなることが分かっています。

インプラント治療により歯列を回復させることで、口腔内全体の健康維持が可能となります。

インプラント治療前の診断と計画時点のリスクは3つ

インプラント治療が始まる前には必ず検査を行い、その結果に基づいて診断し治療計画を立てます。この治療開始前の時点では、3つのリスクが挙げられます。

具体的には次の3つです。

  1. 不適切な診査診断と甘い治療計画が失敗につながる
  2. 全身状態を整えていないと治療の失敗やトラブルを招く
  3. 患者さんとの間に情報ギャップがあるとトラブルにつながる

治療を始める前こそ、事前にリスクをコントロールする貴重なチャンスです。治療前にどれだけ準備できるかによってインプラント治療の成功率を大きく左右します。

インプラント治療前のリスクについて、それぞれについて解説します。

不適切な診査診断と甘い治療計画が失敗につながる

インプラント治療に必要な検査や診査は数多くあり、それらが不十分であったり不適切だったりすると、正しい診断ができません。そうした適切でない診査診断に基づき、治療計画が綿密に的確に立てられていなければ、最終的に治療の失敗につながってしまいます。

インプラント治療前に必要な検査や診査項目としては、次のようなものが挙げられます1

  • 全身状態の聞き取りや検査(問診、かかりつけ医への対診、血液検査など)
  • 持病(全身疾患)があるか、飲んでいる薬は何か
  • 全身状態に関する他院での検査結果について(特に高血圧や糖尿病など)
  • 喫煙、食生活、歯ぎしりや食いしばりなどの習慣について
  • エックス線診査(デンタルエックス線写真、パノラマエックス線写真)
  • 歯科用コーンビームCT画像による検査
  • 残存歯の状況の診査(むし歯、歯周病、詰め物や被せ物の状況)
  • 歯茎の状態の検査(歯周組織検査)
  • 噛み合わせの検査(咬合診査、咬合平面、顎位の診査)
  • 清掃状況の確認(プラーク指数、プラークコントロールレコードなど)
  • 埋まっている親知らずや過剰歯がないか
  • 顎関節や周囲の筋肉に異常がないか
  • インプラントをしたい部分の歯肉の状態、歯肉の厚さや幅はどれくらいか
  • インプラントをしたい部分の周囲や向かい合う歯との位置関係はどうか
  • インプラントをしたい部分の近くに神経や太い血管がないか
  • 上顎でインプラントをしたい場合、副鼻腔(上顎洞)との位置関係はどうか
  • インプラントをしたい部分の骨の質や量、形、厚みや高さはどうなっているか
  • インプラントをしたい部分の顎骨が不足していて骨を足す手術(骨造成)が必要か
  • 笑った時に歯がどれくらい見えるか
  • 今の噛み合わせや歯の見え方が顔に調和しているか

こうした検査や診査結果に基づいて診断し、適切な治療計画を綿密に立てなければなりません。もし検査や診査が不十分だと、早くて治療期間中や治療完了後にさまざまなトラブルが生じます。そしてインプラントがすぐダメになってしまい、再治療が必要な状況になってしまいます。

インプラント治療を始める前の不適切な診査診断と甘い治療計画が、治療の失敗につながるのです。

全身状態を整えていないと治療の失敗やトラブルを招く

インプラント治療を受ける前に全身状態を整えていないと、インプラント治療の失敗やトラブルを招きます。全身の状態は口腔内の状態と互いに影響し合うからです。

例えば次のような状態だと、インプラント治療を受けてもよい治療結果につながりません。

  • 生活習慣がかなり乱れている
  • 長年にわたってかなりの量を喫煙している
  • 高血圧や糖尿病などの全身疾患があるが病院にかかって治療を受けていない
  • 全身疾患の治療で薬を出されているが自己判断で飲まない時がある
  • 全身疾患の治療中だが病院には行ったり行かなかったり、お薬手帳も無く管理できていない
  • 健康診断を受けておらず、何らかの病気があるかどうか自分でも全身状態を把握していない

こうした状態ではインプラント治療を受けることができません。もし、このような状態を無視して目先の利益目的にインプラント治療をやってしまう歯科医院があるとしたら、そのインプラントは絶対に長持ちしません。

結局、また治療をやり直すことになってしまい、時間や費用そして通院の労力も倍以上になってしまいます。

治療やコントロールが必要な全身疾患があればきちんと医科にかかり、全身状態を整えた上でインプラント治療を受けなければ、治療の失敗やトラブルにつながります。

患者さんとの間に情報ギャップがあるとトラブルにつながる

治療を始める前に、インプラント治療について十分な説明を受ける必要があります。治療に必要な期間や費用、治療の内容、メリットやデメリットなど、あらかじめきちんと説明を聞いておかなければ、患者さんの中で誤解が生じてしまいます。

歯科医院側は専門知識があるので当たり前だと思っていても、患者さんに正しく伝わっていなければ、歯科医院側と患者さん側との間に情報のギャップが生じます。

そのような状況では、治療を進めていくにつれて必ずトラブルになったり、患者さんも満足のいく治療を受けられません。

患者さんのよくある勘違いには次のような例があり、実際には事実と異なります。

患者側の誤解 治療の実際
インプラントはすぐになんでも噛める 骨と結合するまで数ヶ月待機する必要あり
インプラントの手術後は痛みや腫れがない 外科手術なので多少の痛みや腫れはある
インプラントは保険でできる 基本的には保険適用外の自費診療で1本30〜80万円
数ヶ月でインプラント治療が完了する 部位や必要な処置によって5ヶ月〜1年半かかる
一度入れたインプラントはそのまま一生使える 歯科医院でメインテナンスを継続して受ける必要あり
インプラントするのには年齢制限がある 年齢だけでなく様々な状態で医学的判断をする

インプラント治療を受ける前に、必ず次のような点について説明を受けて、理解したうえで治療を開始しましょう。

それぞれ患者さん自身の状態によって内容が変わりますので、必ず検査を受けて自分の状態に合わせた治療計画に基づいた説明を受けましょう。

  • インプラント治療のメリットとデメリット
  • 治療にかかると見込まれる期間
  • 治療費の見積価格に含まれるものと含まれないもの
  • 治療に必要な処置、手術
  • 手術や使用薬剤などによる起こりうる副作用や有害事象
  • 手術後の状態や治癒期間
  • 仮歯が入るまでの期間、噛める歯が入るまでの期間
  • 治療を進めていく各時点での日常における注意点や避けるべき食事
  • 治療完了後のメインテナンスの間隔
  • 起こり得る追加治療や追加費用
  • トラブル発生時の相談先や対応体制

歯科医院と患者さんの間に、治療に対する理解のギャップが無いようにして、トラブルが生じてしまうリスクを下げることが大切です。

インプラント手術時のリスクは5つ

インプラントを埋め込む手術は外科手術となるため、様々なリスクが挙げられます。具体的には大きく分けて次の5つがあります。

  • 神経や血管損傷を引き起こす解剖学的リスク
  • 歯科医師の技術的リスク
  • 麻酔に伴う安全管理上の全身的リスク
  • 設備や医療体制の問題によるリスク
  • 手術直後の過ごし方によるリスク

それぞれのリスクについて詳しく解説していきます。

神経や血管の損傷を引き起こす解剖学的リスク

インプラント手術時には、インプラントを埋め込む部位周辺の神経や血管を傷つけてしまうリスクがあります。これは必ずしも歯科医師の技術が下手というわけではなく、患者さんの体の個性による「解剖学的リスク」を指します。

口の中や顎やその周辺には、多くの神経・血管・副鼻腔などの構造物があります。インプラントを埋め込みたい位置が、神経や血管、上顎洞という副鼻腔に近すぎると、しびれ・出血・炎症などのトラブルを起こす可能性があります。

代表的な解剖学的リスクとしては次のようなものがあります1

  • 下顎の神経(下歯槽神経)が傷ついて、下唇やアゴがしびれることがある
  • 上顎では、上顎洞(副鼻腔)に突き抜けて入り込んでしまったり炎症を起こしたりする
  • 上顎の前歯では、神経や血管の通る穴(鼻口蓋管など)に接すると出血したり骨と結合しにくい
  • 下顎の前歯から小臼歯の舌側(内側)の舌下動脈が傷ついて、大量出血してしまう
  • 骨が薄い部分では、インプラントが突き抜けてしまう

こうした「解剖学的リスク」があっても、“危険だからインプラントはできない”ということはありません。事前の検査で、歯科用コーンビームCTによる精密診断と適切な治療計画があれば、十分に回避できるリスクです。

外科手術であるインプラント手術では、神経や血管の損傷を引き起こす「解剖学的リスク」がありますが、こうしたリスクを事前に知った上で回避するように適切な事前の検査を行う必要があります。

歯科医師の技術的リスク

インプラント手術では、施術する歯科医師の「技術的リスク」も存在します。手術中は、“ドリルで骨に穴を開けてインプラントを埋め込む”という工程が行われ、この作業では歯科医師の技術が大きく影響するからです。

この“穴を開ける作業(ドリリング)”と、“インプラントを入れる作業(埋入)”には、位置・角度・深さのわずかなズレが大きなトラブルにつながるという特徴があります。

つまり、ドリリングと埋入の精度が治療の成功を左右すると言っても過言ではありません。技術的リスクには具体的に次のようなものがあります。

1.位置のズレによるリスク

ドリルの位置がわずかにずれると、以下の問題が生じます。

  • インプラントが骨からはみ出す
  • 将来的に清掃しにくい形態になる
  • 隣の歯の根に近づき、炎症が起こる
  • 補綴物(上にかぶせる歯)が正しい位置に作れない

特に骨が薄い前歯部では、1〜2mmのズレが審美的失敗に直結します。

2.角度のズレによるリスク

角度が不適切だと、以下のリスクが高まります。

  • インプラントが頬側・舌側へ露出
  • 過度な力がかかり、将来的に緩む・折れる
  • 人工歯(上部構造)の設計に無理が生じ、噛み合わせが不安定になる
  • 清掃不良からインプラント周囲炎を引き起こす

特に上顎前歯では“角度=審美性”と言われるほど重要です。

3.深さの誤りによるリスク

深さの調整が不正確だと、以下の重大な問題が起こります。

  • 深すぎれば神経や血管に接近または接触してしまう
  • 浅すぎれば安定性が不足し、インプラントの揺れや結合不全につながる
  • インプラント周囲炎の原因になる段差をつくってしまう

インプラントは埋め込む深さが1mm違うだけで予後が変わるため、非常に慎重な作業が必要です。

4.オーバーヒート(骨の火傷)のリスク

ドリルの回転数や圧力が適切でないと骨が熱を持ち、見えないトラブルが起きます。

  • 骨がダメージを受けて結合しにくくなる
  • 初期固定が弱くなり脱落リスクが上がる

冷却が不十分だったり、古いドリルを使ったりすると起こりやすいリスクです。

5.初期固定不足のリスク

インプラントは骨と結合するまで動いてはいけないため、埋入時にしっかり固定(初期固定)が得られるかどうかが極めて重要です。

初期固定が弱いと、下記につながります。

  • 結合不全(オッセオインテグレーション不全)
  • 早期の揺れ
  • すぐ噛めるようにする即時荷重の失敗

骨質や埋入トルクの判断は経験と診断が必要です。

このように、インプラント手術時には歯科医師側の「技術的リスク」があります。

しかし、これらのリスクも、事前の精密な検査と治療計画、適切な設備や医療体制によってほとんど回避することができます。

麻酔に伴う安全管理上の全身的リスク

インプラント手術では必ず麻酔を使うため、手術中には安全管理を行うべき「全身的リスク」があります。インプラント手術で使用する麻酔には、口の中の手術部位に注射する「局所麻酔」や、リラックスして手術を受けるための点滴「静脈内鎮静」などがあります。

麻酔は痛みや恐怖心を減らすために大きな役割を果たしますが、同時に“身体の反応をコントロールする”医療行為であるため、患者さんの全身状態によってはリスクが生じることがあります。そのため、麻酔を使用したインプラント手術中は、全身の安全管理を行う必要があるのです。

麻酔を使うことによる全身的リスクには、次のようなものが挙げられます1

  • 血圧や脈拍の変動:高血圧や低血圧
  • 呼吸の抑制:呼吸が浅くなる、回数が減る
  • 循環器系のトラブル:不整脈や狭心症発作など
  • 麻酔薬へのアレルギー反応:発疹、息苦しさ、血圧低下など
  • 薬剤相互作用による全身反応:予想以上に強い眠気、血圧低下、呼吸抑制
  • 嘔吐や誤嚥:胃内容物が気道に入ってしまう
  • 高齢者特有のリスク:認知機能、循環器、呼吸器への影響

麻酔を使用するインプラント手術中は、このような「全身的リスク」が生じます。

しかし、事前に全身状態についてきちんと問診して評価を行い、必要時には医科主治医と連携し、手術中には熟練した麻酔担当医と生体管理モニターによる安全管理を行うことで、インプラント手術を安全に行えます。

麻酔は安全にインプラントをするための手段です。麻酔による「全身的リスク」を正しく理解し、適切な対応と管理を行えば、決して怖がる必要はありません

設備や医療体制の問題によるリスク

インプラント手術時には、設備や医療体制も重要です。これまで解説してきたさまざまなリスクに適切に対処するためにも、歯科医院の設備や体制が整っていなければならないからです。

インプラント手術を受ける歯科医院の設備や医療体制に問題があると、次のようなリスクが生じます。

1.歯科用コーンビームCTなどの画像診断設備が不十分な場合

  • 神経、血管、上顎洞の位置を正確に把握できず、しびれ、出血、穿孔のリスク増大
  • 骨量や骨質の評価が不十分となり、治療が失敗しやすい計画になる
  • 角度や深さの誤りから、インプラントの噛み合わせに問題が発生

2.手術室の環境(清潔度・照明・器具管理)が不備の場合

  • 感染症リスク上昇による、術後の腫れやインプラント周囲炎
  • 器具の滅菌不良による細菌感染
  • 手術中の視野確保不足により位置・角度の誤り

3.インプラント機器や器具が不十分な場合

  • 安価な粗悪品のインプラント使用で長持ちせずトラブルのリスク
  • ドリリングのズレにより神経損傷や上顎洞穿孔の可能性
  • 初期固定不足が生じ、結合不全や脱落リスクにつながる

4.麻酔や生体管理モニタリング設備が不足している場合

  • 術中の血圧や脈拍の変動を見逃し、全身的合併症の危険
  • 呼吸状態の悪化(低酸素)に気づけず、意識障害や緊急事態に発展
  • 鎮静麻酔が安全に行えず、不必要に痛みや不安を感じる

5.緊急時対応設備(AED・酸素・蘇生器具)が不十分な場合

  • アレルギー反応や循環器トラブル発生時に対応が遅れる
  • 心停止やアナフィラキシーに即応できず、重大事故の可能性
  • 応急処置ができず、救命率が低下

6.チーム体制のない術者単独での手術

  • 器具や視野の管理が行き届かず、手技ミスが増える
  • 麻酔管理、記録、モニタリングに手が回らず、危険な状態を見逃す
  • 術者が「診断・手術・補綴・管理」を全て1人で行うため、品質が安定しにくい

インプラント手術において、設備や体制によってこのようなリスクが生じます。そのため、インプラント手術を安全に行うためには、適切な設備が整備されており、十分な人員での医療体制が整っていることが重要です。

インプラント治療に携わるスタッフには、現場での高い知識や技術だけでなく、熟練したチームでのアプローチが不可欠です。

歯科医師や歯科衛生士、歯科技工士や歯科助手といった歯科医院のスタッフはもちろん、手術に携わる麻酔科医や看護師、そして普段患者さんがかかっている内科などの医科との連携も求められるのです1

しっかりとした設備とチーム医療体制が整っている歯科医院を選ぶことで、インプラント手術も安全に正確に行われ、長期的に安定するインプラント治療を受けられます。

手術直後の過ごし方によるリスク

インプラントの手術直後の過ごし方にはいくつか注意点があり、それらを守らなければ治りが悪かったりトラブルが起きたりするリスクが生じます。インプラント手術直後は見た目に大きな変化がなくても、体の中では“骨と歯茎が治ろうとする最も繊細な時期”だからです。

インプラント手術を終えて帰宅し、次に歯科医院で治りの経過をチェックしてもらうまでの過ごし方は、治りのスピードや感染、インプラントの安定(初期固定)に影響を与えます1。具体的には次のような点に注意して過ごしましょう。

1.血行が良くなる行為は控える

次の行動は血流を急激に増やし、出血させ腫れたり痛みを生じさせ治りを遅くさせてしまう原因になるので控えてください。

  • 長時間の入浴(熱いお風呂)
  • 飲酒
  • 激しい運動、筋トレ
  • サウナ、岩盤浴
  • 顔のマッサージ、ホットパック

2.手術部位を触らない・舌で押さない

傷口はデリケートなので、触れると出血したり縫った傷口が開いたり感染を起こしたりしてしまうので、次のようなことはしないでください。

  • 指や舌で患部を触る
  • うがいを強く繰り返す
  • ブラシで手術部位を直接こする

手術直後の歯磨きの仕方についても歯科医院より指示があるので、その通りに歯磨きをして口腔内を清潔に保ちましょう。

3.強いうがいをしない

傷口には「血餅」というかさぶたのような血のフタができており、これは治るのに必要な保護膜です。血餅が剥がれてしまうと治りが悪くなり感染しやすくなってしまうので、次のようなうがいの仕方はNGです。

  • 手術当日からゴシゴシうがい
  • 洗口剤でブクブク強くゆすぐ

口に水を含んで軽くすすぐ程度に留めましょう。

4.食事は反対側で噛み、柔らかいものを選ぶ

硬いものを噛んでしまうと、手術で埋め込んだばかりのインプラントが揺れてしまい初期固定へ影響を及ぼし、結合不全を招きます。

<推奨される食事>

  • のどごしのよい柔らかいもの(うどん、雑炊、スープ、ヨーグルト、豆腐など)
  • あたたかい(熱すぎない)ものがよい

<避けるべき食事>

  • 硬いもの(せんべい、ステーキ、ナッツ類、硬い根菜、軟骨、フランスパンなど)
  • 粘着性のあるものや弾力の強いもの(ガム、餅、キャラメル、大福、団子、グミなど)
  • 熱すぎたり激辛など刺激のある料理

5.指示された薬を決められた通りに使用する

術後に処方されるお薬(抗生剤や痛み止め)は、感染予防・腫れの軽減・痛みの緩和に不可欠です。飲み忘れや自己判断の中断は、感染 を引き起こし、インプラント周囲炎やインプラントの失敗につながる可能性があります。

また、歯科医院によっては、うがい薬を処方します。指示された通りに処方されたうがい薬を使用して、傷口の感染を予防しましょう。

6.喫煙は厳禁

ニコチンは血管を収縮させ、血流低下・酸素供給の悪化・骨の治る力の低下を引き起こします。喫煙はインプラント失敗率を高める最大の要因の一つであり、本来は事前に禁煙をしておくことが望ましいですが、最低でも術後1〜2週間は控えるべきです。

7.出血がにじむ場合はガーゼを軽く噛んで圧迫止血

もしも傷口から血が滲んできたら、清潔なガーゼをギュッと噛んで“圧迫止血”をしましょう。歯科医院から、そうした時用にガーゼを渡してくれることが多いです。決して強いうがいをしないでください。

インプラント手術直後の過ごし方は、インプラント治療の成功のために重要です。手術した部位の傷口がしっかり治って、インプラントが骨ときちんと結合するためにも、歯科医院の指示を守って過ごしてください。

インプラント手術後から治癒期間中のリスクは4つ(数日〜数か月単位)

インプラント手術を終えたら、手術直後だけでなく、最終的な被せ物(上部構造)が入るまでの期間も引き続きさまざまなリスクに留意する必要があります。

具体的には大きく分けて次の4つのリスクがあります。

  • 腫脹・感染・疼痛などが起きる手術後のリスク
  • 骨との結合(オッセオインテグレーション)がうまくいかないリスク
  • 骨補填材による術後トラブルが生じるリスク
  • 仮歯によるトラブルが起こるリスク

それぞれのリスクについて解説します。

腫脹・感染・疼痛などが起きる手術後のリスク

手術を終えたあと数日間は、痛みや腫れや出血が見られることはよくあります。治癒過程の正常な範囲であることがほとんどですが、場合によっては、異常な痛みや腫れ、感染などが起きてしまうことがあるのも手術後のリスクです。

具体的には次のような症状が見られたら、心配な状態である可能性が高いので、すぐに歯科医院に相談しましょう。

  • 赤みや熱感がかなり強い、パンパンに腫れている:局所的に感染し炎症が強く起きている疑い
  • ずっと出血がダラダラと続く:手術部位の治癒不全や血腫形成の疑い
  • 強い痛みや違和感:インプラント周囲炎の疑い
  • 強い口臭が出てきた:細菌感染の疑い

手術後に処方される抗菌薬(抗生物質)や痛み止めを正しく服用することで細菌感染や痛みをコントロールでき、正常に治癒が進むことがほとんどです。歯科医院で指示された通りに歯磨きやうがいを行い、口腔内を清潔に保つことで、手術後の感染や異常な腫れ、痛みを予防できます。

骨との結合(オッセオインテグレーション)がうまくいかないリスク

インプラントを手術で埋め込んだ後は、インプラントが顎の骨と結合(オッセオインテグレーション)するのを待ちます。この待機期間は2〜6ヶ月必要です6。この期間中に何らかの原因によって、インプラントが骨とうまく結合しないリスクがあります。

顎の骨に埋め込まれた後すぐのインプラントは、インプラントのネジ山が骨に食い込むことである程度固定されていますが、噛む力を負担できるほど固定されていません。徐々に周囲の骨と生着してしっかり結合する「オッセオインテグレーション」が得られてからでないと、噛むことはできないのです。

そのため、この「オッセオインテグレーション」が達成されるまでの待機期間は非常に重要です。

手術直後の傷口が治った後も、インプラントが骨と結合するために、次のように過ごし方に注意が必要です。

  • 仮歯や入れ歯の部分で噛んだり負担をかけたりしない
  • 粘着性のあるものや硬いものを食べない
  • 清掃をしっかり行い汚れを溜めない
  • 何か異変があったらすぐに歯科医院へ行く

様々な研究報告に基づくと、インプラントを埋め込んで人工歯を入れられるようになるまでの期間に「オッセオインテグレーション」が獲得できない早期失敗のリスクは、1%〜6%程度の低頻度です7,8

ただし、この「オッセオインテグレーション」に失敗する“早期失敗”のリスクは決してゼロではありませんが、しっかり診査・診断してリスク管理すればそんなに高くはないと言えます9

骨補填材による術後トラブルが生じるリスク

インプラントを埋め込む土台の顎の骨の骨量が不足している場合、インプラント治療に伴い、骨を作る移植材などを用いて「骨造成手術」を行うことがあります。

人工材料を用いて行う骨造成手術では、材料が露出したり感染し、手術後に炎症・出血・痛み・神経障害などの合併症が起こるリスクがあります10

仮歯によるトラブルが起こるリスク

インプラント手術後、噛める歯が入るまでは仮歯で過ごす期間があります。この期間中は、次のような仮歯のトラブルが起こるリスクがどうしても生じます。

  • 仮歯が欠ける、割れる、外れる
  • 噛み合わせが合わない
  • 清掃がしにくい
  • 汚れがつきやすい
  • 歯の形の見た目が気になる
  • 頬や舌に当たって口内炎ができる

仮歯は一時的なものですが、最終的に噛める人工歯に比べると、やはり素材や精度はどうしても劣ります。そのため上記のようなトラブルが生じる可能性があるので、気になることがあったらすぐに歯科医院で相談をしましょう。

また、患者さん側もこうしたトラブルが生じないように、歯科医院で指示されたように注意して過ごしてください。

インプラント治療完了後の長期的なリスクは7つ(年単位)

インプラントが骨に結合(オッセオインテグレーション)し、最終的な人工歯が入って無事に治療が完了した後も、インプラントに関してトラブルが生じる長期的なリスクはゼロではありません。

自身の歯でも適切に管理しないと虫歯や歯周病になってしまうのと同じように、インプラントも治療完了後のメインテナンスとセルフケアを怠ってしまうと、トラブルが生じてしまう可能性があるからです。

具体的には次のようなリスクが挙げられます1

  • インプラント周囲の炎症は最も頻発の長期的リスク
  • インプラントの欠け・緩み・脱落などのトラブル
  • 顎位や咬合の変化・残存歯の破折や動揺などのトラブル
  • 高齢化・要介護化に伴うリスク
  • 全身疾患や口腔がんなどの治療に伴うリスク
  • 見た目が変化するリスク
  • 経済的負担が長期化するリスク

それぞれについて解説します。

インプラント周囲の炎症は最も頻発の長期的リスク

インプラント治療が完了した後に起こる一番多い長期トラブルは、インプラント周囲に起こる炎症であると報告されています11。インプラント周囲に起こる炎症とは2段階あり、「インプラント周囲粘膜炎」、そして「インプラント周囲炎」です。

「インプラント周囲粘膜炎」とは、“インプラントのまわりの歯ぐきにだけ炎症が起きている状態”です。

自分の歯でいう「歯肉炎」のようなもので、インプラントを支える骨を溶かすなどの影響はまだ出ていないものの、次のように歯茎の症状はある状態です。

  • 周囲の歯肉が赤く腫れる
  • 周囲の歯肉が出血しやすい
  • たまに違和感がある

この段階であれば、きちんとクリーニングを受けてセルフケアを徹底すれば、もとの健康な状態まで戻すことが可能です。

「インプラント周囲炎」は、インプラント周囲粘膜炎がさらに進行してしまい、インプラント周囲の骨が溶け始めてしまっている状態です。

自分の歯でいう「歯周病」と同じ状態で、インプラント周囲粘膜炎で見られる歯肉の症状に加えて、さらに次のような状態を引き起こします。

  • レントゲンで見るとインプラント周囲の顎の骨が減っている
  • インプラント周りの歯周ポケットが深くなっている
  • 放っておくことでインプラントが緩んだり抜け落ちたりする

インプラント周囲炎によって一度溶かされてしまった骨は元通りに戻らないことが多く、治療をしても完全に回復することができません。

インプラント治療完了後に、下記の割合で見られると報告されています11

  • 「インプラント周囲粘膜炎」は、患者さんの約4割(43%)程度
  • 「インプラント周囲炎」は、患者さんの約2割(22%)程度

後述する他のトラブルや合併症よりも、発生頻度としてはこの「インプラント周囲粘膜炎」や「インプラント周囲炎」が多いです。

また、「インプラント周囲粘膜炎」や「インプラント周囲炎」が起こると、後述するインプラントの緩みや脱落、噛み合わせの変化などの他のトラブルも招いてしまいます。

ただし、これらのインプラント周囲に起こる炎症は、歯科医院での定期的なメインテナンスやクリーニングを受け、日々の丁寧な歯磨きを行うことで予防できます。

インプラントを入れたら、自分の歯と同じように炎症が起こるリスクが生じますが、定期検診と毎日のケアでこの炎症を早く見つけてコントロールすれば、インプラントは長く安定して使うことができるのです。

インプラントの欠け・緩み・脱落などのトラブル

インプラントの治療が完了した後は、インプラントのスクリューや人工歯にトラブルが起きてしまうリスクがあります。インプラントのスクリューは顎の骨に固定されるとはいえ、過剰な噛み合わせの力などがかかってしまうとトラブルを起こしうるからです。

具体的には次のようなトラブルが起きるリスクがあります1

  • インプラントの人工歯(上部構造)の亀裂や欠けなどの破損
  • インプラントの人工歯(上部構造)が浮いたり外れたりなどの脱離
  • インプラントのスクリュー(インプラント体)の緩み、破折、脱落
  • インプラント体と人工歯(上部構造)を結合させる部品の緩みや破損

こうしたリスクは、強い咬合力や、歯ぎしりなどのブラキシズム、インプラントの埋め込み角度や人工歯部分の設計などが不適切なインプラントなどによって生じます。

適切な治療計画に基づいたインプラント治療を受け、治療完了後も定期的なメインテナンスを受けて噛み合わせのチェックを受けることで、このようなトラブル発生は予防できます。

顎位や咬合の変化・残存歯の破折や動揺などのトラブル

インプラントの治療が完了した後、インプラントの噛み合わせが適切でないと、他の歯へも悪影響を及ぼしトラブルを招きます。

また、インプラント部分に問題がなくても、他の部分で噛み合わせの変化が起きた時にはさまざまなトラブルを招くことがあります。噛み合わせというのは、インプラント部分に限らず残りの自分の歯の部分でも決まるからです。

例えば、次のようなトラブルが挙げられます。

  • 自分の歯の負担が増加して、歯根破折や歯の揺れ(動揺)が起きる
  • 抜けた歯に向かい合う歯がのびてきて(挺出)、噛み合わせに変化が生じる
  • 噛み合わせのバランスが崩れ、一部の歯に過剰な負担がきて痛みや揺れが生じる
  • 噛み合わせに変化が起きて、歯並びが変わって前歯がガタガタになる
  • 噛み合わせが変わって顎関節に痛みが出たり開けづらくなる顎関節症になる
  • 咀嚼筋に負担がきて、頭痛や肩こりが起きる

元々インプラントに問題はない場合でも、噛み合わせに変化が生じるとインプラントにもトラブルが発生しかねません。

インプラント治療完了後の定期検診では、インプラント部分はもちろん全体の噛み合わせもチェックしてもらい、必要に応じて調整することが大切です。

高齢化・要介護化に伴うリスク

インプラントは、正しくケアすれば10年、20年それ以上長く使える治療です。

しかし、患者さん自身の高齢化と要介護化に伴うリスクがあります。日本は世界でもトップクラスの超高齢社会で、将来的に多くの人が 「自分では細かな清掃ができない」という状況に直面するからです。

1つ目は、高齢になり握力や視力の低下や手先の不器用さが生じると、歯ブラシや補助清掃用具が使いにくくなり、歯垢(プラーク)がインプラント周囲に残りやすくなるため、インプラント周囲の炎症が起こりやすくなります。

また、足腰の不調や全身状態の変化、認知機能の低下によって、定期検診に行けなくなってしまうとインプラント周囲の炎症が進行するリスクが大幅に上がります。

2つ目は、介護が必要な状態になった時、介護者がインプラントの構造や清掃方法を理解していないことから、インプラントの清掃不足で歯茎や骨にトラブルが生じてしまうリスクです。

患者さん自身が十分なセルフケアができなかったり、歯科医院に通って定期検診を受けられなかったりする場合、訪問歯科でのケアや管理が必要です。

高齢化や要介護化によるインプラントのリスクを踏まえて、治療する前から“将来どう管理していくか”備えることが重要です。

具体的には、次のような点を考慮しておきましょう。

  • 通院できなくなった場合のメインテナンス体制
  • 家族や介護者への清掃方法の共有
  • 病気や入院の際に医科と情報共有できる体制
  • インプラント本数や形態は将来の清掃性を考える

全身疾患や口腔がんなどの治療に伴うリスク

インプラントを入れた後は、全身の病気や口腔内の病気になった時には、医科や他の歯科治療との連携が不可欠になります。インプラントは顎の骨と結合する治療であり、その周囲には血管、神経、全身からの血流や炎症の影響が関わるため、医科や他の歯科治療と密接に関連しているのです1

例えば以下のようなケースでは、歯科だけで判断するのではなく、医科との連携が治療成功のカギになります。

<抗がん剤治療・放射線治療を受けている場合>

抗がん剤や放射線治療は、骨の治る力(骨代謝)や免疫力を低下させるため、インプラント維持に影響することがあります。特に「顎骨壊死(あごの骨が壊れる病気)」のリスクが上がるため、主治医との情報共有、口腔管理の徹底が必須です。

<骨粗鬆症治療薬を使用する場合>

これらの薬は骨の代謝に影響し、少ない確率ですが「顎骨壊死」を起こすリスクがあります。インプラント治療前だけでなく、インプラント治療が完了した後に骨粗鬆症治療が始まった場合も、インプラントのメインテナンスをする中で医科と連携することが望ましいです。

<MRI検査をする場合>

インプラントを入れた後にMRI(磁気共鳴画像)検査を受ける場合、現在の歯科用インプラントは、ほぼすべてMRI検査が可能です。

ただし、次のような点に留意してください。

  • 画像に影(アーチファクト)が出てしまう可能性:顎関節、顔面領域、頭頸部領域のMRI検査の場合、インプラントの影響による影で一部見えにくくなる
  • インプラント手術直後のMRI撮影は相談を:MRIによるインプラントへの影響はないが、歯肉の傷口が治癒途中なら、傷の治癒が落ち着いてからの方がよい場合もある

インプラントを入れた後にMRI検査をすることになったら、必ず医師に“インプラントが入っていること”を事前に申告してください。必要に応じて、インプラントをした歯科医院と医科で情報共有が行われます。

<歯科の他分野との連携>

口腔内でも専門分野が異なるため、次のようなケースでは歯科の各分野での連携が必要です。

  • 矯正治療:噛み合わせの再構成が必要な場合インプラントの位置が問題になる
  • 歯周病治療:歯周病があるとインプラント周囲の炎症も起きやすい
  • 補綴治療(かぶせ物や入れ歯):設計の精度によってインプラントの寿命が決まる

インプラント単体の治療ではなく、「口全体の機能の中でインプラントを活かす」という視点が不可欠です。

インプラントを入れた後に、口腔内や全身でどんな病気が起きるかは誰にも予想できません。そんな時が来た際には、インプラントをした歯科医院と医科で連携をとることが重要です。

また、インプラント治療をする時点で、長期的な将来のことまで見据えた治療設計やメインテナンス体制を提供してくれる歯科医院で治療を受けることが理想的です。

見た目が変化するリスク

インプラント治療後、年月の経過とともに口元の審美性が低下することがあります。最も多いのは歯肉の退縮により、インプラントと歯肉の境目に黒いラインが見えるようになるケースです。特に前歯部では目立ちやすく、笑った時に金属部分が露出することもあります。

加齢による歯肉のボリューム減少により、隣の天然歯との高さに差が生じ、不自然な見た目になることがあります。セラミック製の人工歯は経年劣化により変色や艶の喪失が起こり、10〜15年で交換が必要になる場合もあります。

喫煙者では、歯肉退縮など歯周病のリスクが3倍以上高くなるため、禁煙が推奨されます12,13。定期的なメインテナンスで審美性の低下を最小限に抑えることは可能ですが、必要に応じて歯肉移植や上部構造の交換などの追加処置が必要となります。

経済的負担が長期化するリスク

インプラントは初期費用だけでなく、生涯にわたってメインテナンス費用が発生します。3〜6ヶ月ごとの定期検診では1回5,000〜10,000円、年間で20,000〜40,000円程度の費用がかかります。

トラブル発生時の修理費用も考慮が必要です。上部構造の破損や交換には10〜20万円、インプラント周囲炎の治療には数万円から数十万円かかることもあります。保証期間を過ぎた後のトラブルは全額自己負担となります。

ただし、これらの定期的なメンテナンス費用はインプラントを長持ちさせるための必要経費といえます。

インプラントは虫歯にはなりませんが、清掃不良や噛み合わせの問題が続くとインプラント周囲炎などのリスクが高まり、結果的に治療が長期化して費用負担が大きくなる可能性があります。

将来の経済状況も踏まえ、定期検診・クリーニングを前提とした長期的な資金計画を立てておくことが重要です。

インプラント治療に副作用のリスクはある?

インプラント治療は安全性の高い治療法として確立されていますが、他の医療行為と同様に副作用のリスクは存在します。主な副作用として、使用する材料や薬剤に対するアレルギー反応や術後トラブルが挙げられます。

ここではインプラント治療での副作用として、代表的な2つのリスクを解説します

金属アレルギーによる副作用のリスク

インプラント体の主流であるチタンは生体親和性が高く、アレルギーを起こしにくい素材ですが、ごく稀にチタンアレルギーを発症する方がいます。発生率は0.6%程度と報告されています14。チタンアレルギー症状として疑われる臨床症状には、インプラント周囲の腫れや痛み、発赤、口内炎、全身の湿疹などが報告されています15,16,17

そのため、治療前にパッチテストや血液検査でアレルギーの有無を確認することが推奨されます。既に金属アレルギーがある方は、事前に歯科医師に申告することが重要です。

治療薬(抗生物質・鎮痛剤・麻酔薬など)による副作用のリスク

インプラント手術では複数の薬剤を使用するため、それぞれに副作用のリスクがあります。

抗生物質では、下痢や腹痛などの消化器症状が副作用として起こることがあります18。また、体質によっては発疹やかゆみなどのアレルギー症状がみられる場合もあります19

過去に薬物アレルギーの経験がある方は、必ず事前に申告してください。代替薬の準備や、アレルギー検査の実施により、リスクを最小限に抑えることができます。手術当日は体調を整え、空腹での来院は避けることも副作用予防につながります。

術後は定期的な経過観察により、異常の早期発見が可能です。

インプラント治療のリスクを高める「リスクファクター」を知ることが重要!

インプラントのリスクは、事前に知って対処することが重要です。インプラント治療におけるトラブルや失敗の原因の大半は、治療前からすでに存在していたリスク要因(ファクター)が見逃されていたり、十分に対処されていなかったケースが多いからです。

リスク要因(ファクター)とは、“トラブルを起こしやすくなる要因”のことです。

リスクファクターを治療前に把握できれば、ほとんどのリスクは予防できます。患者さん自身の生活改善や、医科との連携で、インプラント治療のリスクを低下させることが可能です。

それでは、リスクファクターとしてどのようなものがあるかを解説していきます。

全身疾患と服薬状況

インプラント治療をする上でリスクファクターとなる全身疾患やお薬があります。インプラントは外科手術を伴う歯科治療なので、全身の状態と影響し合うからです。

例えば、高血圧はインプラント手術中に止血困難となるリスクとなったり、血糖値が高いと感染のリスクとなったりします。インプラントのリスク要因となる全身疾患やお薬については、次のようなものが挙げられます1

リスク因子 具体例 対応
糖尿病(血糖HbA1cが6.9以上) 感染・治癒遅延・インプラント周囲炎リスク 術前コントロール・内科との連携
高血圧・心疾患 麻酔時の血圧変動リスク 医科との連携・術中モニタリング
呼吸器疾患 鎮静麻酔時の呼吸抑制リスク 医科との連携・呼吸状態評価・術中モニタリング
骨粗鬆症 骨質不良による初期固定への影響・治癒遅延リスク 医科との連携・術前の骨質評価・骨造成の検討
肝疾患 止血異常リスク 医科との連携・局所止血の徹底・薬剤の調整
腎疾患 感染リスク 医科との連携・薬剤の調整
骨粗鬆症治療薬 顎骨壊死の可能性 医科との連携
抗血栓薬 出血リスク 休薬判断・内科医相談
免疫抑制剤・ステロイド 感染・治癒遅延リスク 医科との連携・術後感染コントロール・メインテナンス間隔短縮
精神疾患 不安・睡眠障害 鎮静法選択・服薬確認

インプラント治療は外科処置を伴うため、通常の歯科治療よりも詳細な全身状態の把握が必要です。しかし多くの全身疾患は、医科と連携し調整を行えばインプラント治療が可能です。

重要なのは、現在の疾患のコントロール状態・服薬内容といった全身の状態をよく把握し、医科主治医との情報共有と連携をしてインプラントの術式や麻酔法の適正化を行うことです。

これにより、患者さんにとっての安全性は大きく向上しリスクを限りなく減らせます。

生活習慣と環境

インプラント治療をする上で、患者さんの生活習慣や環境もリスク要因となってきます。全身的に何も病気がなくても、次のような項目がインプラントへ影響を与えるリスクファクターとして挙げられます1

リスク因子 内容 インプラントへの影響
喫煙 血管収縮・免疫低下 周囲炎・骨結合不全
食習慣 糖質過多・偏食 血糖管理・骨代謝低下
夜間ブラキシズム 噛み締め・歯ぎしり 人工歯の破損・骨吸収
ストレス 交感神経優位 炎症性疾患増加

中でも喫煙は最大級のリスク要因で、失敗率を大幅に高めることが多くの研究で示されています。歯ぎしりや食いしばりはインプラントに過剰な力をかけ、人工歯や骨に悪影響を及ぼします。

これらのリスクファクターは患者自身が改善できる部分でもあるため、患者さん自身が治療前から禁煙したりライフスタイルを整えることが大切です。

口腔内状態

インプラントをしたいなら、インプラントをする箇所だけでなく口の中全体の環境も重要です。歯が無い箇所だけでなく自分の歯が残っている部分の状態や噛み合わせなどは、同じ口の中という一つの空間にある以上、インプラントを入れる部分にも影響を与えるからです。

例えば歯周病がある状態だと、インプラントを入れた後も、インプラント部分の歯周病である「インプラント周囲炎」のリスクを大きく上昇させます。

そのほか、口腔内状態のリスク要因としては次のようなものが挙げられます。

リスク因子 内容 インプラントへの影響
歯周病歴 再発リスク 歯周病治療完了後にインプラント治療
骨量不足 初期固定不良 骨造成・治療計画
咬合不良 過重負担の偏り 咬合診断・調整
清掃不良 インプラント周囲炎誘発 術前よりセルフケア改善

インプラントをしたい部分は何が原因で歯を失ったかをきちんと考慮した上で、その“歯を失った原因を治すこと”がインプラント治療成功の第一歩となります。

医療機関・術者側の要因

患者さん側にインプラント治療のリスクファクターがなかったとしても、治療を受ける歯科医院に問題があると、インプラント治療失敗のリスクになります。

具体的には次のようなリスク要因が挙げられます。

リスク因子
治療経験・症例実績・専門医の有無 適切な診断・計画に基づく治療を受けられるか
チーム医療体制 麻酔科医・技工士・歯科衛生士・看護師等の連携体制の有無
画像診断・設備 歯科用CT・ガイド・オペ室や滅菌設備の整備
メインテナンス 長期的な維持のために制度化されているか
インフォームドコンセント 誤解の放置・トラブル化の防止

インプラント治療の専門医や、インプラントに精通した技工士や歯科衛生士、手術中の麻酔を担当する麻酔科医によるチーム医療の体制が整った歯科医院なら、インプラント治療の安全性が高まります。

インプラント治療のリスクを最小限にするためにできる5つの対策

インプラント治療のリスクをできる限り少なくするため、患者さんにできる対策があります。

これまで解説してきたようにインプラント治療を受ける際にリスク要因となるのは、患者さん側の問題に限らず、インプラント治療を提供する歯科医院側の問題もあります。

そのため、患者さん自身の準備と歯科医院選びなど、患者さんの行動で対策をとれます。

具体的には次の5つの対策があります。

  • 患者さん自身の全身状態を整え「セルフチェックリスト」を活用する
  • 治療前に確認したい質問リストを用意しておく
  • 設備や体制がしっかりしている実績豊富な歯科医院を選ぶ
  • ガイドラインに沿った治療と定期的なメインテナンスを受ける
  • セカンドオピニオンを上手に活用する

それぞれの対策法について解説します。

患者さん自身の全身状態を整え「セルフチェックリスト」を活用する

インプラント治療を受ける前に、患者さん自身が自分の全身状態を把握して準備することが、最も大切なリスク管理の第一歩です。

次のような「セルフチェックリスト」で、インプラント治療を受ける段階としてリスクが高いかどうかを確認してみてください。

チェック項目 はい いいえ
全身疾患・服薬について把握している
何か全身の病気がある場合、きちんと病院にかかっている
歯科医院の定期検診を受けている
むし歯や歯周病や被せ物の治療は終えている
歯周病や口臭など口の中で気になることはない
夜間の歯ぎしり・噛み締めはない
喫煙習慣がない(過去にも喫煙したことがない)
清掃(歯磨き)は1日2回以上できている
歯ブラシ以外に、フロスや歯間ブラシなどは使っている
グラグラしたり“噛みにくい歯”がない
食事や睡眠など生活習慣の乱れがない
歯科のメインテナンスの重要性を理解している

「はい」が多いほど、インプラント治療のリスクが低く安全性が高いと予想されます。もし、「いいえ」が多い場合には、インプラント治療を受ける前に準備期間を設けて自身の状態を整えることで、インプラント治療の成功率を大きく高められます。

特に全身疾患がある場合は、必ず医科にかかってきちんと治療を受け、安定した状態にしておきましょう。

治療前に確認したい質問リストを用意しておく

インプラント治療を受ける歯科医院を選ぶ上で、何を基準に選ぶべきかも大事です。歯科医院選びによって、インプラント治療のリスクを下げることができるからです。

例えば、次のような“治療前に聞いておくべき質問リスト”を用意して、歯科医院で相談してみましょう。

  1. 歯科用コーンビームCTや3D診断は必ず行っていますか?
  2. インプラントの症例数・経験年数はどれくらいですか?
  3. 使用するインプラントのメーカーはどこですか?
  4. 全身疾患(糖尿病・抗血栓薬など)への配慮はできますか?
  5. 手術はチーム医療で行っていますか?インプラント専門医や麻酔科医はいますか?
  6. 治療後のメインテナンス体制はありますか?
  7. 治療後のトラブルにも対応してくれますか?保証はありますか?

設備や体制がしっかりしている実績豊富な歯科医院を選ぶ

インプラント治療を受けるなら、設備や治療体制がしっかり整っている経験豊富な歯科医院を選びましょう。インプラント治療を受ける上で、設備や治療環境、歯科医師だけでなく多職種によるチームアプローチが重要だからです。

例えば、次のようなスタッフが揃っている歯科医院でのインプラント治療が望ましいです。

職種 役割 治療成功との関係
インプラント治療専門医 診断・手術・咬合管理 治療全体のリーダー
学会認定歯科衛生士 清掃・メインテナンス インプラント周囲炎の予防
院内常駐の歯科技工士 補綴物の設計/製作 咬合・審美性・耐久性
麻酔科医 安全な鎮静/麻酔 循環器リスクの管理
術前検査チーム 血液検査・歯科用CT 全身管理の基盤
物品整備・滅菌チーム 治療や手術に必要な機器の準備管理や滅菌 高品質な治療の提供・感染対策

インプラント治療の成功は、歯科医師1人だけでは決められません。このようなチーム体制がある歯科医院ほど、リスク管理能力が高いと言えます。インプラント治療のリスクをきちんと管理して治療を成功につなげてくれる歯科医院で治療を受けるのがおすすめです。

また、インプラント治療を行うための機器や設備として、次のようなものが揃っている歯科医院を選ぶことが望ましいと言えます。

カテゴリー 設備・機器 役割・患者にとってのメリット
診断・治療計画の精度を高める設備 歯科用CT(3D画像装置) 骨の厚み・神経・上顎洞の位置が立体的に分かる。安全な埋入位置を決めるため必須。
IOS(口腔内スキャナー) 精度の高いデジタル印象。補綴の適合が良くなる。嘔吐反射の心配が少ない。
シミュレーションソフト(Implant Studio / coDiagnostiX等) インプラントの位置・角度を事前に3Dで決める。手術精度が格段に向上。
咬合分析機/デジタル咬合管理ツール 噛み合わせの力を数値化し、破折や周囲炎を予防できる。
手術時の安全性を高める設備 サージカルガイド(3Dプリント) 診断通りの位置にインプラントを正確に埋入できる装置。神経損傷のリスクが大幅減。
専用オペ室(クリーン環境) 感染リスクを最小化。個室で集中した治療が行える。
生体管理モニター(血圧・酸素飽和度) 高血圧・不整脈・呼吸などをリアルタイム管理。安全な麻酔のために重要。
静脈内鎮静(IVS)対応設備 不安・恐怖を軽減。痛みや記憶が少ない状態で手術可能。麻酔の専門家がいるとさらに安心。
骨造成専用器具(PIEZOSURGERY等の超音波機器) 骨をやさしく削ることができ、安全性が高い。神経や軟組織を傷つけにくい。
感染対策・衛生管理の設備 

 

クラスB滅菌器(ヨーロッパ基準) あらゆる器具を完全に滅菌。インプラント医院では必須レベル。
口腔外バキューム(粉塵・飛沫吸引) 術中の空気中の細菌・飛沫を除去。感染予防に大きく寄与。
滅菌パック・単回使用器具の充実 安心できる清潔環境。交差感染リスクを極小化。
使用するインプラントシステムの品質  プレミアムインプラント(ストローマン・ノーベルバイオケア・アストラテックなど) 世界的臨床データが豊富で、10年以上の長期成功率が証明されている。信頼性が段違い。
ジルコニアアバットメント・CAD/CAM補綴 審美性が高く、精度がよい。金属アレルギーの患者にも有用。
手術・治癒をサポートする生体再生技術  CGF/PRF(自己血由来再生療法) 治癒促進、腫れ・痛みの軽減、骨造成の成功率向上。
人工骨・自家骨ブロック移植器具 骨が少ない部位でもインプラントが可能に。長期安定性に直結。
長期メインテナンスを支える設備 

 

プロケア専用スケーラー(チタン対応チップ) インプラントを傷つけずにクリーニングできる。周囲炎予防に必須。
歯科衛生士専用ルーペ/歯科用実体顕微鏡 歯垢の取り残しを防ぎ、精密なメインテナンスが可能。
定期検査用X線・骨レベル評価装置 インプラント周囲炎の早期発見に役立つ。

もちろんこれらの全てが揃っていないといけないわけではありませんが、良質な長持ちするインプラント治療を受けるためにはなるべく多く揃っていることが望ましいです。

東京でインプラント治療を受けたい…おすすめの歯科医院と選び方

ガイドラインに沿った治療と定期的なメインテナンスを受ける

インプラント治療の成功は、“うまく手術できたかどうか”だけで決まるものではありません。実際には、治療計画の精度と治療後のメインテナンスの質が長期予後を大きく左右するからです。

日本口腔インプラント学会をはじめ、国際的なガイドライン(ITI、EFPなど)でも、“治療前の精密診断に基づく科学的な治療計画”と“治療後の継続的なプロケア(メインテナンス)”が揃うことで、インプラントの成功率が飛躍的に高まることが強調されています。

ガイドラインに沿った治療計画を立てるには、「不適切な診査診断と甘い治療計画が失敗につながる」で解説したような検査項目をきちんと調べることが必要です。不十分な検査に基づいた雑な治療計画や、科学的根拠(ガイドライン)に基づかない独自のやり方でやっている歯科医院は避けましょう。

また、治療完了後のメインテナンスは、インプラントを良好な状態で長く保たせるため、徹底したセルフケアと合わせて非常に重要です。インプラントの長期的なトラブルの多くは、インプラントの周囲の炎症であり、その最大の予防策は定期メインテナンスだからです。

定期メインテナンスでは、次のようなインプラントのチェックと清掃を行います。

  • インプラント周囲の炎症検査(プロービング)
  • 噛み合わせのチェック
  • 患者さんの清掃状態のチェックと指導
  • 専門器具によるバイオフィルム除去
  • エックス線検査による骨の状態の確認

これらは患者さん自身では絶対にできないため、歯科医院と患者さんとのチームプレーが大切です。また、もしも全身の状態や飲んでいるお薬に変化があった時は、必ず申告してください。

インプラント治療が完了した後も、引き続き全身状態を考慮してインプラントが長持ちするように維持していくことが必要です。

セカンドオピニオンを上手に活用する

インプラント治療を始める前に必要な場合には、セカンドオピニオンを受けることを検討しましょう。インプラント治療は高度な医療であり、医院によって技術力・知識量・設備・治療方針が大きく異なります。

そのため、患者がセカンドオピニオン(第二の専門家の意見) を求めることは、世界的にも当たり前であり、むしろ推奨されている行動です。治療方針や対応が適切かどうかを、患者自身が正確に判断することは難しいためです。セカンドオピニオンを活用することで次のようなメリットがあります。

1. 治療法の比較ができる
同じ症例でも、骨造成してから入れる・骨造成を最小限にして工夫する・別のインプラントシステムを使うなど、医院によって提案が全く異なります。比較することで、自分に合った治療法が見つかる可能性が高まります。

2. 過剰治療・過小治療を避けられる
本来必要なのに説明されていない治療や、不必要なのに提案されている治療といった偏りを避け、客観的な診療の質を確保できます。

3. 自分で納得したうえで治療を選べる
本当に今の治療がベストなのか?という不安が解消されるため、治療前のストレスが大きく減ります。

セカンドオピニオンを他院で受ける際には、次のような資料を通院中の歯科医院から提供してもらう必要があります。

  • これまでの検査結果や治療の経過などの情報を含めた紹介状
  • エックス線画像データや歯科用C Tデータ(DICOMデータ)
  • 治療計画書

これらがあると、セカンドオピニオンを求める歯科医院でより正確な判断をしてもらえます。

医院によって、治療内容だけでなく治療に対する考え方・価値観も様々です。そうした違いを知り、自分により合う医院を選ぶことが出来ます。

ただし、他院の批判ばかりしたり不安を煽ったり、今すぐ治療を迫るような医院は避けましょう。医学的根拠ではなく営業色が強い医院の可能性が高いので、保険外治療でお金をかけるインプラント治療においては、冷静に判断する必要があります。

インプラントは長く付き合う治療です。だからこそ、医院選びや治療法選びを丁寧に行うことが、リスクを抑えて安全性を高めることにつながります。そのために必要な時にはセカンドオピニオンを上手に活用しましょう。

インプラント治療なら永田歯科医院

永田歯科医院では、カウンセリングを重視し、治療の目的やゴールだけでなく、想定されるリスクについても丁寧な説明を大切にしています。事前に治療の見通しと注意点を共有することで、患者さま自身が十分に理解・納得したうえで治療を選択できる環境づくりを心がけています。

さらに院内には、日本補綴歯科学会認定の専門医をはじめ、インプラント・審美歯科・矯正歯科など、さまざまな分野の専門医が在籍しています。

幅広い症例に対応できるため、骨の状態や全身疾患の有無などを踏まえたうえで、インプラントが本当に適しているかどうかも含めた包括的な治療プランの提案が可能です。

インプラント治療のリスクが不安な方や、自分に合った治療法を知りたい方は、ぜひ一度当院へご相談ください。

\専門家と一緒に最適な計画を立てましょう/

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まとめ:インプラントのリスクを理解したうえで治療を検討しよう

インプラント治療におけるリスクは、本記事でご紹介したように治療の各段階でさまざまなものがあります。

しかし、そのリスクの原因である「リスクファクター」になるものとして大きく分けると次の4タイプが明らかになっています。

  • 全身疾患と服薬状況
  • 生活習慣と環境
  • 口腔内状態
  • 医療機関・術者側の要因

こうしたリスクファクターを踏まえて、インプラント治療のリスクを最小限にするためには、次の5つの対策を取ることが出来ます。

  • 患者さん自身の全身状態を整え「セルフチェックリスト」を活用する
  • 治療前に確認したい質問リストを用意しておく
  • 設備や体制がしっかりしている実績豊富な歯科医院を選ぶ
  • ガイドラインに沿った治療と定期的なメインテナンスを受ける
  • セカンドオピニオンを上手に活用する

リスクを怖がるのではなく、患者さんと歯科医院とが協力してリスクをしっかり管理して、インプラントを長持ちさせることが重要です。

当院では、5000本以上のインプラント埋入実績があり、最新設備を完備しています。治療前には無料カウンセリングを実施し、リスクファクターの評価から治療計画まで丁寧にご説明します。

また、当院にはインプラントはもちろん、矯正歯科や審美的治療、歯周病など、さまざまな分野の専門家が在籍しています。各分野に精通したプロフェッショナルがチーム医療を行うことで、総合的な観点から精度の高い治療を提供します。

リスクを最小限に抑えた治療をご提供しますので、インプラント治療をしたいけどリスクが不安という方は、ぜひ一度当院にご相談ください。

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