エムドゲインを用いた再生治療の最前線 立川 永田歯科医院 重度歯周病 歯肉再生
2019年12月13日
歯科医師の塩谷です。再生治療の講習を受けたので報告をさせていただきます
・講習の様子。下の写真はGTR、GBRなしのfopのみです。動揺が無くてもダメージを受けていた歯はスプリンティングすることが重要だそうです。ここまで治るの感動ですね…素晴らしい
・エンドペリオは必ず根管治療から始めて、そのあとFopします
・GBRのゴールドスタンダードは自家骨です!
・再生治療の場合は縫合で完全封鎖する必要があるので歯肉溝切開をします。逆に切除療法の場合は不要な辺縁歯肉は計算して切除します。切除しないとそのあとにまたポケットが戻る可能性がある為です(特に口蓋側)。エムドゲインを用いない場合は1週間で抜糸です。パックする場合は2週間はおきます。FGGした際にパックした場合はその時も必ず2週間は待つ必要があります。早期にパックを取ると移植片がパックと共に取れる可能性が上がります
・根面処理方法は4つ。リン酸、クエン酸、EDTA、テトラサイクリン。リン酸とクエン酸は最大15秒塗布。長時間は逆効果になります。EDTAは二分間浸透させます。テトラサイクリンは粉に対して5倍量の生理食塩水で希釈します。今回のライブオペではテトラサイクリン2分間浸透させていました。ガーゼでしっかりと乾燥させることで唾液や血液の介入を防ぎます
・エムドゲインを使用した時は基本的にパックはしません。何回も念押ししていました。パックすると血液供給が悪くなり治癒が遅延するので、パックせずに治癒を促進させます
・歯周組織であるセメント質が再生治療の鍵で、歯根表面から再生開始
・成長因子は寿命が短く通常ひとつの機能しか促進しませんが、その一方でエナメルタンパクは長い持続性と多数の活動に関与しますので優秀です
<<ライブオペ>>
右下4567のFop。エムドゲインを用いた再生治療なので血管収縮作用のある麻酔は乳頭部や辺縁歯肉には注入しないようにします。歯肉溝切開を7遠心から、4の近心まで入れて縦切開はなしです。12dとオーガンナイフを使用して切開。減張切開はなし。うまく剥離出来ない時は切開が上手に出来てない場合がほとんどなので、時間をかけてでも丁寧な切開をすることで結果的に素早く治療が終わるそうです。剥離後は超音波フルパワーで肉芽除去、歯石除去。その後ハンドスケーラーを使用して、テトラサイクリンを浸透させた綿球を患部に2分間浸透させます。これにより根面処理だけでなく48時間抗菌作用があります。
縫合はバイレイヤースーチャーテクニックを使います。
これは歯肉弁の基底部を水平マットレスで縫合して、歯間乳頭を単純縫合で縫合するテクニックです。エムドゲインしない部位は垂直マットレスで行なっていました。週に2回コンクールによるSP、最低でも週1で来ていただき、術後6週間は歯ブラシをしてもらわないように指導をするそうです。6週は長いですね。糸はナイロンかePTFEを使用して、抜糸は2~6週待ちます。3週間はおくことが多いそうです。縫い目はかなり長めの再生が起きるときが大切なので歯科医師・衛生士による清掃・SPがものすごく大切だそうです。
術後初めてプロービングをするのは術後6ヶ月後です!衝撃です。ものすごく待つ印象を受けました。コラーゲンの成熟には半年かかるので・・・。エムドゲインしない時も半年待つ。学問的には6ヶ月待ちたいそうです。
Q&A
Q:エムドゲインを入れる際に、FDBAと混ぜていました。DFDBAの混和は不要なのですか?
A:DFDBA入れると操作性が悪くなるので混ぜません
Q:食事指導はしますか?
A:昔はしていました。タンパク質をとっていただく。硬いものは絶対噛まないようにして。
Q:スプリンティングするタイミングはいつですか?
A:早い段階でやってください。可能な限りフルカバレッジで。動揺なくてもです
エムドゲインに関しては後日また追記致します
歯科医師 塩谷