大御所、ストローマンインプラントとノーベルバイオケアインプラントの差。
MMIA第4回 2022/7/8,9 萩原 大子
Nobel Biocare(MALOクリニック下尾先生)
インプラント埋入後のISQ値の変化
インプラント埋入から2~4週がもっともインプラントが不安定な時期
この期間はインプラントを触れない
この期間は硬い物を食べないよう注意を促す
傾斜埋入
傾斜埋入の利点
①骨移植を回避できる
②長いインプラントを埋入できる
③Zone1の骨質良好な部分へ埋入できる
④即時荷重が可能である
⑤スターティングポイントが遠心になるためカンチレバーが減少する
⑥治療期間を短くできる
⑦治療コストを抑えることができる
傾斜埋入について
・歯軸方向埋入と傾斜埋入で、インプラント生存率に統計学的有意差はなかった
・歯軸方向埋入と傾斜埋入で、辺縁骨吸収についてもフルアーチ、パーシャル両方で統計学的有意差はなし
・全顎的インプラント治療において、上顎・下顎ともに、インプラントの本数が5本未満と5本以上を比較しても、インプラントの生存率に統計学的有意差を認めなかった
微小動揺の抑制
微小動揺の許容範囲は50 ~100μmである
150μm以上の微小動揺は、インプラントの繊維被包化により通常の骨治癒を阻害する
Adaptation Technique(ノーベルにおけるUnder Preparation)
骨質に応じて段階的に埋入窩を形成する
インプラントが骨をコンデンスしながら迷入されるため、良好な初期固定が得られる
Bicortical Support
両端を皮質骨に固定
とくにTupeⅣの場合はBicortical Supportを行わないと初期固定は得られない場合がある
即時荷重と即時修復
Immediate Loading (即時荷重)
積極的に咬合させる。 適応:無歯後、多数歯欠損
Immediate Restration(即時修復)
咬合させない。 適応:審美領域、部分欠損
インプラント接合様式の変遷
・エクスターナルバットジョイント
マイクロムーブメントが多く、マイクロギャップも多かった
・インターナルバットジョイント
エクスターナルと比較すると、マイクロムーブメント・ギャップが少なくなった
・インターナルコニカルジョイント(テーパージョイント) (conical:円錐)
(プラットフォームスイッチングなど)
アバットメント接合部に円錐状の接合様式を用いてマイクロムーブメントを抑制している
マイクロギャップも少ない
Saucerization
バットジョイントのインプラントはインプラント-アバットメント接合部から半径約1.5mmの骨吸収を生じる
マイクロムーブメントにより生じたマイクロギャップ周囲に炎症性細胞集積を起こすため
インターナルコニカルコネクションでも0.64mmのSaucerizationは起こる
垂直的な歯肉の厚みと辺縁骨
歯肉が薄いと骨吸収がみられた
3mm以上の厚みがあると、骨吸収が少ない
TiUnite
たこつぼ状の表面性状をもつ
スレッドに下にグルーブをつけることで、骨接触面積が増え、高い骨結合を得られるようになった(除去トルク30%アップ)
たこつぼに細菌が入り込むとインプラント周囲炎のリスクになるという見方もある
TiUltra
カラー部から先端まで段階的な表面粗さを持つ(陽極酸化処理された表面特性)
カラー部の粗さは最小限でナノ構造・非多孔性、先端部分はやや荒い多孔性をもつ
Mucointegration:
Abutmentと軟組織の接着における新しい概念
On1コンセプト
ムコインテグレーションをコンセプトにした新しい表面性状Xealを特徴としている
On1ベースは装着したら取り外さない
On1ベースは初期固定35N必要である
埋入時か二次OPE時(出血している状態のとき)に入れ、外さない
Xeal(ジール)
一見スムーズな表面だが、ナノ構造・非多孔性の陽極酸化表面性状をもつ
その化学的性質と表面形状によって軟組織の付着を促進する
ゴールド色は歯肉粘膜貫通部領域の自然な外観をサポートするのに有益
Xeal(ジール)、TiUltraの陽極酸化表面性状は、表面の水酸基にラミニンやフィブロネクチンなどの接着性タンパク質の吸着量を上昇させることで、良好な軟組織付着が得られる
これらを応用することで、Supracrestal Tissue Attachment(STA)が3mm以下でも骨の吸収を防ぎ、安定した骨レベルを維持できるという
X-Guide
X-Guideの利点
①サージカルテンプレートを製作しないため、治療までの準備期間が短い
②X-Guideを用いるとより正確にインプラントを埋入できる
角度精度・位置精度がどの方法より高い
(誤差は約0.4mm以内、他のNavigation Systemよりも精度が高い)
③サージカルテンプレートによる手術の誤差が少ない
④リアルタイムで2D-CT画像を見ながら手術を行えるため、神経損傷・臨在歯損傷などの重要臓器損傷が起きる可能性が低い
⑤手術注にシミュレーションの変更が可能
⑥開口量の少ない症例や直視が難しい部位の手術が可能
・術者は画面を見て、アシスタントが口腔内を見ながら埋入する
・真ん中の丸はドリルの先端、周りの小さな緑の丸はコントラヘッドの先端を示しており、2つの丸が合うようにゆっくりドリリング・埋入する
Straumann(勝山先生)
術後の生理的骨吸収
術直後 1mm吸収
そこから5年で1mm(生理的吸収)= 年間0.2mm吸収
純チタンとチタン合金
純チタンはチタン合金より弱いため、細いインプラント体は破折するリスクがある
アバットメントなどはチタン合金であることが多い
印象(アナログ)
オープントレー法
テンポラリーコーピングと立て、くり抜いたトレーを使用する
クローズドトレー法
既製トレーで出来る(トレーは歪まないよう硬いものを使用する)
ポジションシリンダーを厚い歯肉の方から入れ、浮かないように嵌め込む
ポジションシリンダーを回転して外れないことを確認する
他社と比較したインプラントの早期のロスト率
StraumannTLインプラントの早期のロスト率は、他社と比較し最も少ない
Nobel Biocare、Astra Techと比較してもStraumannが良好
サードパーティーはStraumannより早期で5倍、9年以内で7倍ロスト率が高い
ただし、TLインプラント以外については明確なデータがない